Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第14章 指導
その日の訓練中、その人はずっとキース教官の隣で訓練を見ていた。
「貴様らの訓練をこの調査兵団第3分隊長であるステラ・グレースが見たいとの事だ、せいぜい頑張るんだな」
朝そう言って隣にいる銀髪のその人を紹介したキース教官に、周りはあの鬼教官が天使を連れてきた、と喜んだ。
「あの人って確か、調査兵団の天使って言われてる人じゃなかったっけ。ステラっていう名前は割と知られてる」
マルコが朝食を取りながら言った。
だが単に美しいだけで分隊長になれるのか?いや、きっと実力も相当なのだろう…
しかしその人は今日1度も訓練に参加したり指導したりしなかった。
ずっと俺らの訓練を見ていただけだったが、1度目が合った時、その目に射抜かれているようで背筋に鳥肌が走った。
「どういうことなんだろうね、一体」
アルミンが考え深く言った。
「たかが訓練兵に調査兵団の分隊長が見に来るなんて…それに、もしあの人が調査兵団で言われてる天使なら」
「なら、なんだ?」
「以前その人、夜連れ去られたみたいなんだ。そしたら今の団長と人類最強の兵士長とか幹部達が一斉に助けに行ったって」
「お、おい…その連れ去った奴らどうなったんだよ…」
ライナーが口の端をひくひくさせながら言った。
「噂だけどね、ぶちのめされた、っては聞いたことがある」
俺とライナーは互いに震えた。
待てよ、じゃあ俺は今朝とんでもない人に手を握られてしまったんじゃないか?
いや、噂だ噂。なんてことない……そう思いながらも、次団長や兵士長に会った時謝罪しなくてはならないかもしれないと思った。