Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第2章 自覚
翌朝目覚めると、物音が静かな空間に響いた。
以前ステラが微睡んでいた場所へ気配を消していくと、予想は外れそこに居たのは彼女だった。
盗人だと思い手に持ったナイフを急いで隠す。
明かりに反射してきらきらと輝く髪をなびかせて、伏し目がちな目に長い睫毛がかかっている。
「ステラ、」
呼び止めるつもりは無かったのだが、無性に名前を呼びたくなった。
「…リヴァイ」
動かしていた手を止めると、こちらを見てふわりと笑った。名を呼ばれた、ただそれだけなのに、自分の意思と反して心臓が嫌というほど跳ねた。何とか治め、彼女の方を見る。
「……此処で寝たのか」
「ううん、イザベルの所で寝たけれど早くに目が覚めてしまって……ごめんなさい、勝手に」
「いや、いい………何してたんだ?」
「紅茶を淹れてたの。朝に飲むと良いって母様が……」
はにかみながら言うステラの手元を見ると、2つ紅茶があった。気分を良くし、それを手に取った。
ステラは一瞬驚いた顔をしたが、俺が飲み始めると心配そうにこちらを見ていた。
美味い。朝はなかなか嫌いだったが、これがあるなら良い、と思えてしまうほどに。
「あ、…あのね、私なかなか入れたことなくて…」
慌てて言うステラに、軽く頭を撫でて言う。
「…悪くない」
正直悪くないどころじゃないが、ステラはぱあっと顔を輝かせて、ありがとう、と言って照れたように笑う。