Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第9章 ✵事件︎︎
エルヴィンとミケの制止を振り払い、忍ばせておいたナイフを取り出し、目の前の屑を切り刻もうと近づく。
すると、服の裾が弱く引っ張られる感覚がした。
「……リヴァイ、」
小さく、ハンジに抱きかかえられ横たわるステラが言う。
ステラに名を呼ばれて、自分が息を荒らげ怒りに染まっていた事に気づく。
「此奴は始末する。お前を傷つけた奴を生かしておく訳にはいかねぇ」
力無くステラは首を振る。掠れた声で、しかしはっきりと俺の目を見ながら言う。
「……貴方に…殺人犯になって欲しくない、リヴァイ……」
上げていたナイフを持った腕が落ちる。ステラの元へ駆け寄り、ハンジに抱かれているステラの頬に手を伸ばす。ステラも力を振り絞り、手を俺の頬に伸ばした。
「大丈夫。……私は大丈夫だから」
額をつき合せると、安心したのかステラの意識はそこで途切れた。
エルヴィンとミケが男を縛り上げていたが、ステラが気絶すると同時に言葉を発した。