Madly in Love 【リヴァイ】【進撃の巨人】
第1章 始まり
何かもう少し、気にかけるような言葉をかけてやれたらいいのに、なかなかそれが出来ないため水を飲むことで誤魔化す。しかしステラはまた驚いたように此方を見て、直ぐに視線を下に戻した。
再び沈黙が続いた後、彼女の手に涙が落ちるのを見て、俺は水を飲むことに集中することにした。
が、頑なに我慢しようとしているステラを見て、この苦しみを自分が解消させられたらどんなにいいかと密かに思う。
「…別に、無理して抑え込む必要はねえ……俺はただ水を飲みに来ただけだ、気にするな」
言うはずの無かった言葉が口をついて出てきていた。
人に泣いているところは見られたくないだろう、と気遣ったものの、ファーランだったらもっと上手く言うだろうな、と思ってしまう。
そう考える俺の横で、ステラは顔を下に向けたままぽろぽろと静かに涙を零した。
その翌日から、積極的に掃除を手伝ったり、よく笑うようになったりした為に俺は余計に目が離せなくなった。
此奴は花が咲くように笑う。
目を離さないでいると偶に目が合うことがあるが、太陽のようで直視出来ず顔を逸らしてしまう。
彼女は地上の人間だ。俺のように、地下で暮らす奴には相応しくない。