第16章 夜勤
「中佐って、何も怖いものなさそうですよね。」
それは、フュリーの一言から始まった。
全員がそろった夜勤。
珍しく穏やかな日は、眠くなる。
その眠気を覚ますために、オレたちは調査することにした。
ケース1:昆虫害虫恐怖症
「うわぁっ!ゴキブリっ!!」
「ゴキブリぐらいでビビってどうするんだよ。」
バシンッ!!
「中佐、強いですねぇ。昆虫も平気な口ですか?」
「あぁ。平気だな。」
ケース2:暗所恐怖症
「あれ?停電?」
「うわー、真っ暗ですね。」
「今日は雲が厚くて、月も星も見えないからな。」
「蝋燭どこ行った?ジャン、火ぃくれ。」
「中佐、冷静ですね。」
「リザもな。」
ケース3:閉所恐怖症
「中佐、すみませんっ!!」
「あぁ?」
ドンッ!
「へ?」
バタンッ!
「おっ、おいっ!」
ガチャリ
「なんだってんだよ。」
「もうしばらくここにいてください。」
「はぁ?」
「………狭いところも平気なんですね。」
「は?」
ケース4:高所恐怖症
「中佐!」
「んー?」
「ちょっと来てください。」
「どうした?」
ニャァーン
「あーあ。なんだってあんなところに。」
「降りられなくなっちゃったみたいで…。」
「しょうがねぇな。助けてくるよ。」
ケース5:対人恐怖症
「それはないだろう。」
「大総統にでもケンカ売れるような人ですからね。」
はぁー…。
「あの人、マジで怖いものないんじゃないか?」
「なにしてるんだ?」
「あー、大佐ー。」
「なんだ?」
「中佐の怖いものって何すか?」
「の?あぁ…、もうしばらくしたら、わかるんじゃないのか?」
そのとき、窓の外がピカッと光り
大きな音が響いた。
それと同時に雨が降り出した。
バタンッ!!
扉が勢い良く開いて、中佐が慌てて入ってきた。
「どうしたんだね?」
冷や汗をかく中佐とは反対に、大佐は満面の笑み。
「いや…、今…。」
ゴロゴロゴロ
「ゥワァッ!!」
これはもしかして…。
夜勤
調査報告書:中佐は雷恐怖症