第18章 信頼の絆
勇姫は炭治郎の腕の中で気を失い、そのまま蝶屋敷へと運ばれた。
女性なので個室を用意され、布団で寝ていた。
起きない勇姫を心配してしのぶを問いただすが、「寝てるだけです、大丈夫です。」と笑顔で返される。
ただ、勇姫の身体には、炭治郎の刀傷がざっくりと刻まれていた。
しのぶ曰く、とても不思議な傷だという。傷の範囲からして重度の内臓損傷があるだろうに、その所見が全く無く、まるで刀が通った直後に一瞬で治った感じ、とのこと。
ただ、傷は傷なので、一生消えることはないだろう、と言っていた。
炭治郎が、吸飲みを持って部屋に入ると、勇姫がうっすらと目を開けた。
「……勇姫っ!!!」
布団へ駆け寄る炭治郎。
「炭治郎…。あれ、私…」
起き上がろうとする勇姫を「まだ起きちゃ駄目だ」と炭治郎が制する。
持ってた吸飲みで水を飲ませてくれた。
「闘いの後、ずっと寝てたんだよ。」
「…え、どのくらい?」
「三日。」
「そんなに…。心配かけて、ごめん。」
「…本当だよ。起きて良かった。」
炭治郎が優しく勇姫の頬を撫でる。
くすぐったさと恥ずかしさに、ふふふと笑う勇姫。
「あ、ねぇ。ちょっと記憶が曖昧なんだけど…、私、ちゃんと下弦の参、倒せたよね…?」
「ん?覚えてないのか?…見事な技だったよ。鬼は消えた。安心していい。」
「そっか…よかった……」
天井を見上げる勇姫。あまりよく覚えていないが、沢山炭治郎に助けてもらった気がする。
隣に炭治郎が居るという心強さにどれだけ救われたか。極限状態の中で、どれだけ頼もしい存在であったか…
震える手を掴んで引っ張ってくれた気がする…
勇姫は両腕を使って、身体をぐぐっと起こした。
炭治郎が「おい…」と言うが「大丈夫」と言って起き上がる。
勇姫は掛け布団を払い、布団の上に姿勢を正して正座をした。