第18章 信頼の絆

目を開けると、炭治郎の泣き顔が見えた。
勇姫の手を握りしめ、大粒の涙を溢す。

「勇姫っ！！！…よかった、よかった！」
炭治郎は覆いかぶさるように勇姫を抱きしめ、声を上げて泣いた。

「……た…じろ、泣かな…で。」
勇姫は、炭治郎の涙を指でそっと拭く。

「……おに…は…」
炭治郎は勇姫に病葉が見えるよう身体の角度を変えてやる。
病葉が崩れて消えていく様子を、勇姫は炭治郎の腕の中で見ていた。

「あの時、お前も一緒に殺しておけばよかったぜ…」病葉は悔しそうに呟く。
――…本当だよ。殺してくれればよかったのに。
勇姫はそう思った。

でも、自分を包むこの暖かな温もりが、生きることを教えてくれた。今は不思議なくらい、こんなにも生きたいと思っている。


「…父さん、母さん、ゆいこ、ひなき…仇は討ちました。どうか、安らか、に………」

勇姫は目を閉じて呟く。
目から一筋の涙が溢れた。


勇姫は、炭治郎に身体をすり寄せ、眠った。
安心しきった子どものような顔で。


炭治郎は眠った勇姫をしっかりと抱きしめた。