第18章 信頼の絆
空には大好きな星が瞬いていた。星たちは、いつも勇姫を見守ってくれた。
目の前には大好きな人がいる。このお日様みたいな人は、いつも勇姫を気にかけてくれる。
「ごめん、炭治郎。」
勇姫はスッと立ち上がった。まだ少し呼吸は荒いが、その目には力が戻っている。
「頑張れるか。」
炭治郎も立ち上がる。
「うん。炭治郎が一緒にいてくれるから。」
勇姫は鬼の気配を読む。
「逃げるふりして拓けた場所へ連れて行こう。」夜平にそう言って走り出した。炭治郎も頷いて勇姫追う。
木がまばらな場所に出た。
流石は十二鬼月。ここに来る前に危うく捕まりそうになった。逃げるふり、ではなく、命からがらここへ飛び込んできた、というのが正直なところだ。
病葉と対峙する勇姫。そこにもう動揺はなかった。
「下弦の参、病葉。私に見覚えはないか。」
病葉は「ああん?」と首をひねる。
体力の回復の為、勇姫は敵に話しかけた。
「この傷を付けたのは、お前だ。」
勇姫は左袖をまくって三本の傷を見せた。
「ああ、お前、あの時のガキか。ってか、まだガキじゃねぇか。もう食われに来たのか。」
「違う、殺しに来たんだ。お前は私の仇だ。」
「お前みたいな弱っちいガキに俺がやられる訳ねぇだろう。しかたねぇねぁ、少し早いけど食っちまおうかな。」
…よし。
相手はこちらを舐めまくっている。
気持ちの悪い笑みを浮かべて、余裕たっぷりに近付いてくる病葉。
勇姫は炭治郎を見た。二人で頷く。
「…我、力を得ようと望む者。」
「我、その者に力を与え幇助する者。」
「互いの信頼の元に」
「剛健なる力を」
「「一つに統べよ!」」
言霊を発すると、勇姫の身体は青白い光に包まれ始めた。
目は黄色がかった色に変化し、髪の毛一本一本まで意思があるかの様に光に合わせて動いている。
「炭治郎!!」
「わかった!!」
炭治郎は勇姫の変化に目を奪われたが、自分でも驚くくらい冷静だった。
「ヒノカミ神楽……」
刀に手を掛け、力を込める。
――…勇姫、行くぞ!!!
「―――――円舞!!!!!!」
炭治郎はありったけの想いを込めて、隣にいる勇姫に向けて技を放った。