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信頼の絆【鬼滅の刃】炭治郎

第17章 大願


勇姫と炭治郎は、「信頼の呼吸」使うにあたっての打ち合わせをした。

というのも3日ほど前に夜平が勇姫の仇、下弦の参"病葉(わくらば)"の情報を知らせてきたからだ。
南西の寺で人が襲われ、鬼殺隊士が向ったところ、顔に三つの傷がある鬼が目撃された。付近の壊滅具合から十二鬼月である可能性は高い、とのことだった。

お館様は勇姫の事情を知っているので、病葉出現の際にはすぐに勇姫に情報が来る手はずになっている。

――決戦が、迫っているのだ。



勇姫と炭治郎は作戦を考えた。

自己の体験や目撃情報を考えると、病葉は逃げる判断が早い。危険を少しでも感じたら迷わず逃げる。
一度しか放てない「信頼の呼吸」。当たれば倒せる可能性があるが、逃げられたらお終いだ。
いつ、どうやって放つのか。二人は悩んだ。様々な作戦を出し合うが、これなら…という案が出ない。

提案しては却下、提案しては却下…それを繰り返し、二人が行き着いた先は、奇襲。それだけだった。
一番無謀とも言える作戦だが、熟考した結果、それしかないと判断した。
子どもである自分達が相手なら、病葉もいきなり逃げるという選択はしないはず。弱いことを逆手にとって、いきなり仕掛ける。
相手の強さを考えると、戦闘が本格的に始まってしまえばほんの数手で戦闘不能にさせられる可能性だってある。それは避けたい。
なんとも心許ない作戦が決まり、二人とも内心「これ本当にいけるのかよ」と、やや絶望を感じた。

「もし、先手をとれなかったら…」
「どこかで隙を見付けて技をしかける、しかないだろうな。」
「隙、あるかな…」
「俺が作る。技を使う時の判断は勇姫に任せる。」
「わかった。」

穴だらけの作戦だが、二人は成功への道を必死で探す。

「炭治郎は水の呼吸だよね。」
「いや、俺はヒノカミ神楽でいこうと思う。」
「ヒノカミ神楽…?ああ、下弦の伍に使ってた呼吸だね。」
「ああ。たぶん俺の中では、ヒノカミ神楽が一番強い。」
「そっか。じゃあ、ヒノカミ神楽でお願い。」


――…俺は、ヒノカミ神楽で、この子を斬るのか。

炭治郎は拳をぎゅっと握った。



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