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信頼の絆【鬼滅の刃】炭治郎

第17章 大願


「…ごめんね、炭治郎。」
勇姫は呟く。

「人に向かって技を出すとか、本当につらいよね。嫌だよね。しんどいよね。酷い事を頼んでるね、私。
逆だったら、私、出来るかなぁ…」

――…本当に、呆れるくらいのお人好しだな。
死ぬかもしれないのは自分なのに。人の事ばかり心配するんだな。

自分のお人好しを棚にあげて、炭治郎はそう思った。


「逆だったら…多分勇姫は、やるよ。うん。勇姫なら絶対やる。やれる。自分の最強の技で俺をぶった切ってくれる。
だから、俺も、ちゃんとやる。勇姫を信じてるから。全力でヒノカミ神楽を放つよ。勇姫に。」
勇姫に話かけているが、本当は自分に言い聞かせている炭治郎。

「ありがとう。」
勇姫は安心したように笑った。

「一つ、お願いがあるの。」
「なんだ?」
「もし、私が病葉を仕留められなかったら、勝ち目は無い。だから炭治郎だけは、絶対に逃げて欲しい。」
「…は?何言ってるんだ!俺は、」
「怒らないで聞いて。
私の私怨の為に、炭治郎の命を奪いたくない。危険にさらしといて今更何言ってんだって思うかもだけど、死んで欲しくないの。絶対に。」
「…勇姫。」
「炭治郎にも願いがあるでしょ。鬼舞辻無惨を倒すこと。禰豆子ちゃんを人間に戻すこと。その夢を奪いたくない。だから、逃げて。お願い。」

炭治郎は黙り込んだ。

「じゃあ、勇姫も約束してくれ。絶対に死なない、と。」
「それは…」
「なら俺も承諾しない。」

炭治郎はプイッとそっぽを向いてしまった。
こうなると頭カチコチ少年は厄介だということは解ってる。

「じゃ、こうすればいい?
炭治郎は、技が失敗したら絶対に逃げる。
私は、…何があっても死なない。」
「…うん。いいんじゃないか?
少し違うのは、技が失敗したら、俺は勇姫を連れて逃げる、だな。」

炭治郎は、勇姫を見つめた。

「叔父さんに、必ず二人で帰ると約束した。」
「うん。」
「俺が、勇姫を絶対に死なせない。」
「うん。」
「俺が、絶対に守る。」
「うん。」

「勝とう!」
「…うん!」

勇姫と炭治郎は拳を合わせた。


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