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信頼の絆【鬼滅の刃】炭治郎

第17章 大願


それから、二週間程たった。
炭治郎は全集中の常中が出来るようになり、新たな刀も手に入れた。
勇姫は相変わらず任務に明け暮れており会うことが出来なかったが、今日は久しぶりに勇姫が休みということで、炭治郎が榊家に来ていた。

「榊さん、これ、ありがとうございました。」
炭治郎は大善に本を返した。勇姫は裏庭で千愛と洗濯をしている。

「おう。読んだか。」
「はい、何度も。」
「言霊は。」
「覚えました。」
「…よし。」
大善は本を受け取り、懐へ入れ、炭治郎を見つめる。

「……君は…勇姫に向かって技を出せるか?」
「…………正直、わかりません。」
「だろうな。」
「……はい。」
「おそらくこの技の一番難しいのが、そこだろう。
だからこそ、互いの信頼が試されるんだと思う。勇姫を信じて、力一杯斬りつけてやってくれ。」

「………俺に…出来ますか。」
「出来る。」
「俺が、出来なかったら、勇姫は死ぬんですよね。」
「そうなる。」
「俺に、出来るのかな…」
「出来る。」

「…っ、何故、言い切れるのですか!…俺は自信がありません。やると決めたのに、どうしても勇姫を攻撃する覚悟が出来ない。もし俺の刀であの子を傷付けてしまったらと思うと怖くてしかたないんです。」
炭治郎の目から涙が溢れた。

「…出来ると言い切れるのはな、勇姫が信じた君を、俺は信じてるからだ、…炭治郎。」
優しい声がした。肩にそっと手が置かれる。

「不安に思う気持ちもあるだろう。失敗を予測して足が竦むこともあるだろう。
だがな、信じる心は何よりも人を強くする。
お前にしか出来ない。お前ならやれる。信じろ、炭治郎。」
「……はいっ!」
ぽろぽろと涙を流しながら炭治郎は頷いた。


――…おそらく、長い巽家の歴史の中で、勇姫と炭治郎がこの呼吸を使う最年少だ。
この年の子どもに、この技は酷だ。炭治郎は追い詰められている。だが、やってもらうしかないんだ。


「必ず、勇姫と二人で帰ってこい。」
「はいっ!」

炭治郎は袖で涙をぐっと拭って力強く返事をした。
しかし、まだ鼻水が盛大に垂れており、大善に笑われてしまった。


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