第17章 大願
蝶屋敷に帰ると、やはりというかなんというか、善逸の激しい攻撃にあった。
「炭治郎!!お前ちょっとどういうつもりなんだ?ああ?勇姫ちゃんに会いに行くって出てって朝帰りですか?おいこら何とか言えよ何があったんだよっっ!とんでもねぇ炭治郎だな!」
訓練に向かう間ずっと炭治郎を責め立てる。
「何もないよ」と言っても「俺は信じない!」と聞いてくれない。音で解るだろうに。
基本的には二人を応援しているだろう善逸だが、炭治郎に先を越されるのは嫌なようだ。
訓練が終わると、炭治郎はすぐに借りてきた本を読み始めた。
あまりにも集中して読んでいるので、善逸の追及もそこで終わった。
信頼の呼吸。
本にはその詳細が書かれており、炭治郎は何一つ取りこぼすまいと熟読した。
夕方まで一気に読み、いくつかの情報を得た。
・術者は生涯で一度しかこの呼吸を使えない
・協力者は一度決めたら変更出来ない
・術者と協力者の呼吸を融合することで爆発的な力を出すことが出来る
・融合中に互いの呼吸が乱れると全て術者に跳ね返る
炭治郎はあまり長くはないその本を、繰り返し何度も何度も読んだ。
炭治郎を一番悩ませたのは、発動に関する章だった。
互いの呼吸を融合させるにあたり、互いの深い信頼の元に、協力者は術者を‘己が使う呼吸の中で最も強力な技’で攻撃する、と書いてある。術者が攻撃をその身に受け、信頼の呼吸と混ぜ合わせることで発動できるのだ、と。
――…やれるだろうか、俺に。何の不安も躊躇いもなく勇姫に技を繰り出すことが。
…勇姫を攻撃するなんて、とても出来ない。
そもそも、こんな魔術みたいなことが本当にできるのか半信半疑だったが、ふと、鬼たちが使う血鬼術と近いものがあるのかもしれないと思った。
巽一族も、おそらく何か特別な血を持っているのだろう。
いろいろな思いはよぎるが、とりあえず炭治郎は術者と共に言う『言霊』を覚えようと、ブツブツ喋りだした。
その姿に蝶屋敷の面々は、炭治郎がおかしくなったとしのぶに報告をしたのであった。
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さて、最終局面に入ります!