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信頼の絆【鬼滅の刃】炭治郎

第16章 過去


――…良い目をした少年だな。

大善からの威圧感はもう消えていた。
しっかりと話を聞く炭治郎の姿を見て、気に入ったようだ。

障子をの向こうから「ご飯は如何なさいますか」と声がかかった。

「少し、話し疲れたな。竈門くん、夕餉にしよう。」
大善はそう言って立ち上がり、障子を開けて妻の千愛に指示を出す。

「共に食べよう。皆で食べた方が美味い。」
「ありがとうございます。」
炭治郎は頭を下げた。

炭治郎は鴉を飛ばし、蝶屋敷に外泊の連絡をした。
帰ったら善逸にやいのやいの言われるんだろうな…と思いながら。

夕飯は質素だったが、とても美味しかった。
千愛の食べ方は勇姫と全く同じで、教本のように完璧だった。
ああ、勇姫はここで暮らし、この人たちの愛で自分を取り戻したんだな…と思いながら夕餉をいただいた。


食事が終わると大善が言った。
「ときに、竈門くん。」
「はい、なんでしょう。」

「君は勇姫の恋人なのか?」
瞬間、飲んでたお茶が気管に入り、盛大にむせる炭治郎。

「げほっごほっ、ち、違いますよ。ただの、仲間です。」
「ただの…仲間、ね。」
「え…と、いや、その…」
完全に見透かされているのを感じ、どんどん赤面していく炭治郎。

「それは、彼女からしたら、の話です。
俺は、勇姫のことが好きです。」
「うん。だろうな。素直でよろしい。」
殴られるのを覚悟して気持を述べると、大善は微笑んだ。

「勇姫は俺にとって娘のようなものだ。
嫁に欲しくなったら俺の所へ挨拶に来てくれ。」
「よ、嫁っ!?いや、あの、ですから、彼女は別に俺のことを何とも思っていませんし…」
「なんだ、要らないのか?」
「いや、要るとか要らないとかではなく…あの、本人の意思といいますか…」
からかわれてるのは炭治郎もわかっていたが、嫁などという言葉が飛び交ったため完全に許容オーバーして混乱していた。

「あら、大善さんが嫁にやるなんて、凄いわねぇ。」
お茶のお代わりを千愛が運んできた。
「今まで勇姫ちゃんに言い寄ってきた殿方は皆追い返してらしたのに。」

二人の湯呑を取り替え、よっぽど気に入ったのね、とクスクス笑って去っていった。
去り際に「やっぱりお布団一緒に敷きましょか。」と言うので「それは駄目だ!」「困ります!」と二人は叫んだ。

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