第14章 那田蜘蛛山
義勇と勇姫が累に対峙する中、炭治郎は禰豆子の所へ這いずり、抱え込むように抱きしめた。
禰豆子を腕の中に納めながら、戦いを見る。
累が動いた時、
「勇姫!!!」と義勇が声をかけ、
「はい!!!」と叫び勇姫は技を放つ。
「星の呼吸、落下星!」
勇姫は空に向けて連続で高速の突きを繰り出した。するとその鋭い突きが上空で大気を押し固め、凝固した大気が凄まじい威力を持って隕石のように大地に降り注いだ。
落ちてくる数多の攻撃は、義勇や炭治郎に一切当たることはなく、しかし敵の退路は完璧に経っている。合同任務の際に勇姫がよく使う支援技だ。
勇姫の技で囲い込みをした中で、義勇が動く。
「水の呼吸、拾壱ノ型、凪」
音もなく、今度こそ累の首が落ちた。
そして、竈門兄妹を、羨望の眼差しで見つめながら朽ちていった。
――…よし。
勇姫は刀を鞘にしまい、
「救護班と合流し、怪我人の救助にあたります!」と義勇に告げた。
炭治郎が気にならないといえば嘘になる。が、恐らく命に別状はない。
勇姫は、一刻を争う隊員を助けにいくという判断をした。
「わかった。」
義勇が頷く。
いつもは丁寧に頭を下げるであろう勇姫は、「では。」と言いながらそのままくるりと踵を返し、鴉を連れて瞬く間にその場から走り去っていった。
義勇がいるからここは大丈夫だろう、という考えの上での判断だったが、この後炭治郎はしのぶやカナヲに攻撃される為、この判断は間違っていたのかもしれない。
しかし、そんなことを知らない勇姫は、疲労で意識が飛びそうになる中、怪我人の救助に奔走する。
鎹鴉の夜平が「大丈夫か。」と聞くと、「疲れた、しんどい、足がすっごい痛い…」と、こっそり弱音を零す。強い敵の気配がなくなり、張り詰めてた心が少し緩んだようだ。
でも、弱音は吐いても動きの速さは変えず、負傷者の治療を次々とこなしていく。
まだ十四の娘が、限界のところで働く姿がそこにあった…
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原作に沿わせるのって、難しいですね(^_^;)