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信頼の絆【鬼滅の刃】炭治郎

第10章 寝顔


「…そんな訳ないだろ。」
炭治郎が苦笑しなから近付く。

夜に会いに来るのは、初めて言葉を交わしたあの時以来。髪を下ろしている勇姫に炭治郎の鼓動が速くなる。


昼間もここで話したというのに、身体は疲れと眠気でだるいのに、どうしても足が向いてしまった。

共に過ごせる残り時間を思い、炭治郎は焦っているのかもしれない。


「…いいか?」炭治郎が勇姫の隣を指差し、勇姫は「どうぞ」と声をかけた。

すっと隣に座る炭治郎。
前の様に草履を脱がす、足は縁側に降ろしたままだ。
太ももに肘を乗せた前傾姿勢なのと、髪が濡れてる事もあって、炭治郎の前髪は額に降りている。


「任務が再開したら…」
炭治郎は庭を見たまま話し始める。

「俺は、ずっと心配することになるな…」
ぼそりと呟く。

「炭治郎は心配性だね。昨日、ごめんね。善逸から聞いた。寝てないんでしよ。」
「いや、……うん。心配した。何かあったんじゃないかって。」
「ごめん。ちゃんと帰るつもりだったんだけど、義勇さんが来たから…」

ピクリと反応する炭治郎。
庭に向けてた顔を勇姫に向ける。

「冨岡さんが…?」
「うん。来る予定があるって胡蝶様に聞いたから、待ってたの。そしたら遅くなっちゃった。」
「………そうか。」

また庭に顔を向ける。

「冨岡さんと…居たのか。」
「挨拶しただけだよ。助けてもらったお礼とね。」
「……冨岡さんは凄いよな。強い。」
「そうだね。夜這いからも守ってくれるしね。」

空を見ながら、ふふっと笑う勇姫。
「義勇さんは、あまりにも仮眠が取れない私を、隣に寝せて守ってくれたの。」

いやまて、それは少し聞き捨てならない、と思う炭治郎。

「…それ、どういうことだ?」
「え?」
「冨岡さんと一緒に寝てたのか?」

あれ、炭治郎怒ってる?なんで?

「一緒にっていうか、近くでね。義勇さんの側になら悪い奴も近付けないでしょ。だから、ここで寝ろって言われ」
「冨岡さんだって、男だぞ!」

説明する勇姫に、炭治郎がくってかかる。
こんな炭治郎は見たことない。
でも何故か勇姫も腹が立って「義勇さんは変なことしないもん!」と言い返した。


黙る炭治郎。
己の醜い嫉妬心で勇姫を苛立たせた。

「…ごめん。」
炭治郎は素直に謝った。
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