第10章 寝顔
縁側で寝転ぶ勇姫。
だんだんと目蓋が落ちてくる。
いかんいかんと思うけれど、強い眠気が来る。
するとそこへ食事が運ばれてきた。
はっとして起き上がり受け取る。
お婆さんとのやりとりが聞こえてたのか、タイミング良く「勇姫ちゃーん!ご飯一緒に食べよーっ!」と善逸が部屋に来た。
さっきのお礼を伝えながら善逸と一緒に男子部屋に向った。
部屋につくとあら不思議。
そこには、畳の上で眠る炭治郎の姿があった。
「ありゃ、炭治郎寝ちゃったの?」珍しい姿に驚く勇姫。
「炭治郎さ、昨日、帰って来ない勇姫ちゃんを心配して、殆ど寝てないんだよ。」
ははっ、と苦笑いをしながら善逸が言った。
「それに、なんか昼過ぎくらいから急に素振りし始めて、さっきまで休憩なしでずーっとやってんの。
で、ふらふらっと部屋に帰ってきたと思ったら、これ。」
炭治郎は善逸の羽織を枕にして、すやすやと眠っている。
伊之助が「軟弱だこいつは!」と騒ぐが、全く起きない。
「へぇー…」と珍しそうに、勇姫は眠る炭治郎に近付く。
そばに両手を付き、顔を覗き見る。
「…ふふ、寝顔可愛い。」
勇姫が静かに笑うと「可愛いなんて言われて喜ぶ男はいないぜ。」と善逸が苦笑する。
お膳をいつもの位置に置き、座布団を用意していた善逸がふと振り向くと…、
「あらら」
「おいおい」
勇姫は炭治郎の隣で丸まって眠っていた。
「…まあ、俺らの飯が来るまで、このままにしといてやろうぜ。」
「…ふん。」
珍しく静かな男子部屋に、すやすやと二つの呼吸が聞こえていた。
ーーーーーーーーーーーーー
炭治郎の寝顔は天使です。
そして、善逸はめちゃめちゃ良いやつです。
炭治郎の枕になってる羽織も、善逸がそっと入れたものです。