第6章 内緒
少しの沈黙の後、勇姫は黙って持っていたお茶碗を膳に下ろしてその上にお箸をパチンと置いた。
「炭治郎」
勇姫は炭治郎をじろりと見た。
「仮に。仮にだよ。私に何らかの弱点があるとして、それを私が言うと思う?」
………弱点、あるんだな。
それも、ちょっとやばめのやつが。
三人は同時に思った。
「…良かった」
炭治郎が笑う。
「何が。」
やや不機嫌な勇姫が答える。
「勇姫にも弱点があって。」
炭治郎が少し笑う。
勇姫は拗ねたように「そりゃあね。」と言って、またご飯を食べ始めた。
善逸が「女の子は弱いところがある方が、可愛いよー」と花を飛ばすと、
伊之助が「おめぇは弱すぎなんだよっ!」と善逸を挑発し、
なんだとこの猪野郎!と小競り合いが勃発した。
そんな中で、
「……言うとは思わない。が、教えて欲しいとは思ってる。」
と、炭治郎が呟いた。
さっきの「言うと思う?」の返事なのだろう。
「勇姫の弱いところは、俺が補う。」
炭治郎の直球が、珍しく勇姫の心を打ち、
身体の奥でトクンと鳴った。
「……ありがとう。」
勇姫は微笑んだ。
そして、
「でも、内緒。」
と悪戯っぽく言う勇姫に、炭治郎の鼓動も速くなった。
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縁側の時もそうでしたが、勇姫さんは弱さにつけこまれると、わりと簡単にやられます!