第5章 黄色いのと猪と
出て行く猪と入れ替わりに、お婆さんが「お食事をお持ちいたしました」と部屋に来た。
俯いていた勇姫は、ふーっと息を吐いて立ち上がった。
「炭治郎、ごめん。
猪くん、連れ戻してくる。」
炭治郎は勇姫に付いて立ち上がり「俺も行くよ。」と言ったが、
「ううん。
私が怒らせちゃったんだから、私が行く。
炭治郎は善逸さんとご飯の用意してて。」
と苦笑いで答えた。
「でも…」と付いてこようとする炭治郎を「大丈夫だから。」と制し、「冷めちゃう前に戻ります。」と善逸にも声をかけた。
「ご飯は皆で食べた方が美味しいもんね!」
先刻、あれ程ピリついた空気を放出していた人物と同じとは到底思えない笑顔を残して、勇姫は早足で部屋から出ていった。
「…驚いたな。」
勇姫を見送りながら、善逸が呟いた。
「ああ、俺もあんな勇姫初めて見た。
といっても昨日初めて話したんだけど。
強いのはわかっていたが…性格はほんわかした子だと思ってた。」
炭治郎も驚きを口にした。
多分、勇姫は敵意を感じると戦闘態勢に入るんだろうな。
三人分の膳を部屋に運び入れながら、
「なぁ、炭治郎。
俺…、勇姫ちゃんに会ったことあるわ。
さっきの彼女からの音で思い出した。」
善逸がそう言った。
「え?そうなのか?いつだ?」
「俺の初任務の時。6人くらいの隊員での合同任務だったんだ。
街の中での混戦でさ。俺達下っ端は街の人間を守るのが任務だったのね。
雰囲気違ってたから最初解かんなかったんだけど、あの時皆に指示を出してたのが勇姫ちゃんだった。」
そして、
「炭治郎、勇姫ちゃん恐ろしく強いぜ。」と言った。
「鬼も沢山いたんだけど、やたらと早く討伐し終わったし、街の人間も、隊士も誰も死ななかった。
んで、勇姫ちゃんは鬼の一番つえぇ奴に向かって突っ込んでって、一瞬で切った。
……あんなに綺麗な技は見たことねぇよ。」
「そうなのか…」
炭治郎は、それ以上の言葉が出てこなかった。
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さて、今一番気になるのは、
土鍋の保温力ですね!!!(笑)
頑張れ、土鍋!
冷めるな、土鍋!