第2章 絆の始まり
その日の夜。
湯浴みを終えた勇姫は部屋から出て、部屋の前の縁側に座って空を見上げていた。
吸い込まれる様な満天の星空。
―――いっそ本当に私を吸い込んでくれたらいいのに
そんな事をぼんやりと考えながら、よりかかる柱に体重を少し預けてじっと星を眺めていた。
まだ右腕を肩より上に上げられないので、背中まである真っ直ぐな勇姫の髪は下ろされたまま。
時折、湿気を含んだ夜の風が気まぐれにその髪を揺らす。
そこへ、誰かの気配。
ジャリッと庭石を踏む音がして、目を向ける。
本当は少し前から近付いてくる気配に気が付いていた。
だから驚くこともなく、勇姫はにこりと笑って
「こんばんは。良い夜ですね。」
と声をかけた。
男の子は、赤い目を少し開いてやや驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔になり、
「本当に。」
と勇姫に優しく声をかけた。
二人の出会いを、星達が静かに見ていた―――