第2章 兄を追いかけて?
「やあ!優奏ちゃんじゃないかずいぶん大きくなって!」
館長は、私の頭を撫でた。
館長は、私が小さい頃からたくさんお世話になっている人である。
「お久しぶりです。館長さん」
「そんなにかしこまらなくていいよ!...しかしこの間の大会優勝おめでとう!相変わらず大活躍だな!」
「ありがとうございます...」
私がそう言うと館長が微笑んでいた。
「きっと、奏君が生きていたらすごく喜んでいただろうね」
奏というのは、私の兄の名前である。
「あっ!そうだ。優奏ちゃん。久しぶりに絵を見ていかないかい?大会優勝のお祝いということでタダにするよ!」
(どうしよう?お母さんには、公園で2、3曲弾いたら帰るって伝えちゃったし。でも館長がこういってるわけだし?うーん?)
「今日は、ゴッホの絵が来てるんだよ」
「えっ!?ゴッホがっ!」
フィンセント=ファン、ゴッホ私の兄が大好きな画家だ。