第2章 兄を追いかけて?
(わっ!お昼御飯食べ損ねちゃう!)
私は、急いで男性が消えていった方向へ向かった。
ふと美術館の一角で足を止める。
(あれ?)
「こんな扉あったけ?」
細やかな細工が施されたアンティークらしき木製の扉の前でなぜか私は、立ち尽くしていた。
(美術品でもないのに...すごく気になる)
わずかに開いた扉からは、アンティークの時計や調度品が見える。
後ろを振り返ると自分以外に扉を気にするものはいないみたいだった。
(あまり有名な展示じゃないのかな?...でも)
その先にあるものに惹かれるように私は、その扉に手を伸ばしていた。
扉の先には、人がちょうど二人並んで通れるくらいの廊下が延びていた。廊下の両脇には、アンティークが並んでいる。
(これは...きっと展示品...だよね)
どこか不思議な展示品を見つめながら誘われるように足が先へ先へと進んでいく。
夢中になって進んでいくと...長い廊下の先がぼんやりと明るく滲んで見える。