第2章 兄を追いかけて?
私は、その声のした方を向いた。
私の隣にロングコート姿の男性が立っていることに気付いた。
(なんだか、絵の中の貴族みたい!)
その男性は、私に近づいて何かを差し出した。
「これ、君のヘアピンだろう?」
彼の手元を見ると確かに私がいつも私がつけているヘアピンだった。
「あっ!」
いつもつけている場所を触ると確かになくなっていた。
「さっき、君が他のお客さんとぶつかっているところを見たんだ。後からこれが落ちているのを見つけてね。...もしかして君のじゃないかと思って探してたんだ」
「わざわざ、すみません。ありがとうございます!」
頭を下げて男性からヘアピンを受けとろうと顔を上げると真正面から視線がからむ。
「鏡がないとつけづらいんじゃないかな?」
「はい...。でも後で......」
「俺がつけてあげようか。...今度は、君が落とさないように、ね」
「えっ!」
驚いて男性を見上げるものの、私と同じ黄金色の瞳を見つめていると頷いていた。