第16章 悪意は伝染する
陽気にハンジがナナバの部屋で客室の許可がとれたと大きな声で言うとナナバも仕事は放り出して、各々明日の服などの準備をすると早速とばかりに客室へ向かった。
夕食もナナバと二ファ、ハンジと4人で楽しく過ごし、まだまだと言わんばかりに客室へ戻ってからも飲んで、騒いでの夜を過ごした。
酒に強くない若手2人は早々に潰れ先輩たちにベッドへ転がされた。
「フゥ〜、なかなか重いな」
「ハンジ、間違ってもこの娘達の前で言っちゃダメだよ」
「失礼だなぁ、いくら私だってそんな事は言わないよ、さ、ボトル開けるよー。」
「全く、いちいち声が大きいよ」
「あはは、それは悪かった」
ハンジ達は飲み直すが話題は自然と今日の出来事、そしてリヴァイの行動についてだ。
「どんだけ我慢するつもりだったんだろねティアナは」
「入団したてに戻ったようで寂しかったなぁ」
「そうそう、あのツンケンした感じ。今、1人いるけどさ」
「ねえ、リヴァイが本当は根がいい奴なのは知ってるけど…ティアナとなんかあった?」
「知らないよ!知ってたら、からかっ、、」
「あんた死ぬね」
「嫌だなぁ。巨人の謎解くまでは死ねないからさぁ」
「実際さ、明日絶対首出すよね」
「ナナバもそう思う?」
「厄介だな」
「そこはエルヴィンやらミケやらが何とかするんじゃない?」
自分の明日にリヴァイがどう絡んでくるのかと気を揉むハンジ達をよそにティアナは久しぶりの安眠に深く入り込んでいた。
「はい。そうです。今までの経緯や関連性には齟齬がないですが再度聴取をします。大きな違いはないでしょう」
エルヴィンは団長のキースに事の次第と明日の聴取への参加と処分について報告と指示を受ける為に団長室で話し合っていた。
「私がでると、話もぶり返すだろう。この件に関してはお前に任せる」
「了解しました。処分はどのように?」
「加害者側、被害者共に与えるが、加害者側には最低でも不名誉除隊か、北方開拓地あたりか。被害者には謹慎処分、期間等も任せる」
「分かりました。では事件の内容報告、処分内容については改めて提出します」
「では、エルヴィン頼んだぞ」
キースへ敬礼をして、エルヴィンは団長室から自室へと廊下を進むと壁に背中を預けたリヴァイが腕を組んで立っていた。