第16章 悪意は伝染する
兵舎に入る前からエルヴィン達を伺うように敬礼をする兵達に構うことなく怪我人を医務室へ連れていくミケら、エルヴィンの執務室の方向へ行く泣いてぐちゃぐちゃの女達。
エルヴィンが最初にしたのは女たちを牢にいれ、1人ずつ執務室へ呼び出しハンジ、リヴァイ立ち会いの元、事実関係の話を聞く事だった。
これは話の真偽を確かめる為、また幹部が同席することで重大さを理解させる為であった。
その結果分かったのはトリシャ達こそが率先して中傷の噂を流してた事、ティアナが優遇されてる事、ちやほやされていると感じた事、エルヴィンやその他の幹部と関係をもっているから、処罰したかったから襲わせたかったと自分達がさも正しいと言わんばかりの話しぶりだった
「ティアナいつも自分は特別て顔して兵団で過ごしているのが許せなかった」
「ティアナの噂が本当で幹部の皆さん始め媚びを売って兵団の秩序を……」
「だって、ティアナはエルヴィン団長によく呼び出されてたし、リヴァイは私を見てくれないし。男漁りばかり。」
3人の話は妬みや嫉妬、歪んだ認識ばかりだったが、主張するのは同じことだけ。
今度は3人揃って対話することにし、様子をみると、今度は罪の擦り付けあいを始めティアナが否定もしないことを批難し、やった事の重大さは”自分じゃない誰かのせい”の点だけは一致した意見だった。
ナナバの部屋ではティアナからこれまでの経緯を聞き出し、噂について放置したこと、トリシャが部屋に押しかけた事、噂がその頃には拡散していた事、襲われた経緯を話した。
ナナバはそれを書き取り念の為二ファにも噂の内容、兵団内に噂がどのくらい浸透し影響を及ぼしていたか等を聞き、それも書き込んだ。
トリシャ達の調書があらかた終わると応急処置をした男達が連れてこられ襲った状況、なぜティアナを計画的に襲ったのかを問いただした。男達はトリシャ達よりも取り乱しながら噂が本当なら関係を持っても大した事はないと思っていたところにトリシャから噂は事実で襲った場所でいつも誰かれ構わず相手にしていると唆されたと。
抵抗された事で怖くなりティアナから告発できないよう襲うしかなかった。とやはり身勝手な言い分だった。
一旦彼ら全員を牢へいれ、ナナバ、二ファと共にティアナを呼び出した。