第16章 悪意は伝染する
「それで、問題はなんだ?」
「ティアナが男に襲われた」
「?!」
「未遂で終わって運がよかったよ。」
「ティアナは、どこにいる」
「今は私の部屋に二ファといる。それと、やらかした奴らをどうしたものかとね」
「案内しろ」
ジャケットを羽織りナナバを急かして執務室を後にする。
リヴァイは様子がおかしいナナバ達を少し離れたところからつけた。
エルヴィン達が現場に着くとそこにはハンジが仁王立ちする前に怯えきった男女5人が自分は悪くないと保身に走っていた。
到着したエルヴィンを目にして彼らは凍りついた。
「ハンジ」
「ああ、彼らがティアナについて卑劣な噂を流し共謀して襲った」
「…詳しく聞きたいものだな。全員私の部屋に来てもら」
エルヴィンが言い切る前にリヴァイは飛び出しすぐさま男達に拳を叩きつけ、左足で蹴りあげ更に服を掴んで無理やり立たせ殴りつけた。あっという間の事に反応が遅れたがエルヴィンとモブリットでリヴァイを引き離そうとするが、リヴァイは地の底から唸るような声で「殺してやる」と我を失っている。
やっと引き剥がしたリヴァイが「離せ」とエルヴィンを温度のない瞳で見やる。
「やめろ、みんな堪えてるんだ。お前だけじゃない」
「知ったことか」
なおも暴れるリヴァイにエルヴィンは「命令だ、今は引け。落ち着け」と強引に抑え込む。
悪い予感に追いかけて来たミケとハンジとモブリットに鼻がひしゃげ、血塗れの男と怯える女の5人を引渡しエルヴィンはリヴァイにお前には関係ないと下す。
「俺も同席する。ダメなら全員半殺しにしてから話を聞いてやる」
「何を聞いても、彼らに手出しはしないと約束出来なければ同席は許さない」
「手を出さなければいいんだな」
「そうだ」
「……わかった」
人目を避けたかったが人数が人数な上に役職持ち。
瞼が腫れ、鼻は折れてるのか手でおおっても滴る血を流し続ける男2人、半狂乱の女3人。
どうしても目をひいてしまう。
だが、仕方がない。
ひとまず、怪我をしている男の応急処置をしてもらう為、医務室へハンジとミケ、モブリットが連れていき、残りの女3人はエルヴィン、ナナバ、リヴァイの異様な光景と刺さるほどの威圧感に囲まれながら兵舎内へと連れ帰った。