第15章 悪意
ジョゼル班、ハンジらを交えた飲み会は既に大酒飲みの会になって潰れてるもの。奇声をあげ更に飲み干すもの、リヴァイからは動物園の中に放り込まれた気分だ。
それよりも宣言通り両腕にぶら下がっている女二人を何とかしようと、卑怯だが飲みに飲ませた。
この飲み屋は兵団の利用も多く潰れたものは2階で寝かせてもらえる。潰れたカタリナとアベリアを2階の部屋に連れていき、駄々をこねる2人を同じ部屋のベッドへ放り込んだ。悪さする野郎共が出ないよう、ついでに眠りこけたハンジも床に転がしておいた。
もし良からぬ事を考える奴がいても飲みすぎているとはいえ、寝込みを襲うような男はハンジが別の意味で潰すだろうし、マスターに鍵をかけてもらった。
ここまで世話をしたのだから、とリヴァイは店を出た。
店から出るとすっかり夜は更け月は少しだけ沈んでいる。
もうティアナは宿舎へ戻って夢の中だろう。
残念な思いに蓋をして夜風を気持ちよく受け本部へと散歩のようにゆっくりと戻って行った。
エルヴィンは執務室にてまだ終わらない書類を処理しながら食堂であったティアナの様子が気にかかっていた。確かに上官である自分に対して態度がなってないが、腫れた頬は彼女に危害を加えた者がいる可能性を示していた。
だが、詮索不要と全身で表すティアナに問うても答えることもヒントもくれないだろう。
気づかれぬようにハンジやミケにそれとなく様子を見るように頼んでおこう。
ティアナは悲しみと怒り、どちらも含んだ思いで、自室の片付けを終えると浴場は湯が抜かれており桶に熱めの湯に張り、その中につけたタオルで全身を拭いて
パジャマに着替えた。
これからの兵舎生活に不安がないとは言えないがティアナにできるのは恥じることもないのだから堂々と過ごすことのみ。
そう決めると緊張は解け緩やかな眠気が夢の中へとティアナを誘った。