第15章 悪意
「リッバーイ!呑んでるー!」
「…」
なんだかんだで調査兵は飲み会が好きであってないような理由をつけては飲み会を開く。
今夜の飲みはハンジとモブリットも誘われており、前回よりも絡んでくるやつが多い。
無言なのはリヴァイとモブリットくらいでモブリットに至ってはハイペースの飲みっぷりだ。
「ジョゼル!勝負だあ!カンパーイ!!」
リヴァイがハンジをチラリと一瞥して相手にしないので近くにいたジョゼルとゲルガー、ハンジでジョッキをカチンと鳴らして飲み比べを始める始末。
(うるせえな…)
リヴァイの飲み方としては静かに飲んでいたいのだが周りはそれを許さない。
「なぁー、リヴァイー、どうやったらお前みたいになれんのー?」
「カイ!もう飲むのやめとけ!」
「うるさいなーヘラルド。お前だってリヴァイのこと羨ましがってたじゃんかー」
相手にせずにいると更に赤い顔でリヴァイの顔を覗き込んでくる。
「だってさぁ、ズリィじゃんよ。強いし女には騒がれてさあ」
「女がどうとかは向こうの勝手でうるせえだけだが、訓練に力入れれば実力も上がるんもんだろ」
「だからあ、その訓練もさー、同じようにしても実力伸びねえし怪我しちゃうわけ、ほらほらー」
「おい、マジやめとけ、ほら向こうにレニアがいる、行くぞ」
ズルズルと怪我を見せようとするカイをヘラルドがレニアとかいう女のとこに連れていかれた。
それは正解だった。リヴァイにだってよくわからないのだ。訓練や壁外での動きはどうこう考えてる訳ではなく”そう、動いてる”のが正しい。無意識に上手く立ち回りができているから人に教えろと言われても”感覚”としか言えない。
ザワザワと騒ぎ声が盛り上がりを見せ以前なら寄り付きもしなかった班員がリヴァイに声をかけては豪快に笑っていく。
別段面白い訳じゃなかったが、愛想程度な態度でも喜び、勝手に親睦は深まっている。
班で数少ない女性達もチラチラ見てくるが声をかける気にもならない。
もちろんリヴァイも男なので気に入った女なら連れ出して…と思わないわけもないが最近はそんな気にもならないし欲を解消したいなら夜の街に行けばいい。
「見つけた、リヴァイ。今夜は逃がさないから」
上目遣いで甘えてくる女はリヴァイが逃げないよう腕を絡ませベッタリと張り付いては甘ったるい香りを振りまいていた。
