第14章 休養日
次は最後に来るはずだったカフェ。
落ち着いた雰囲気のカフェでお気に入りの紅茶とスコーンを楽しんで気力を取り戻そう。
歩調も軽やかに目的地を目指す。
「ティアナ、どこに行くんだ」
「内緒、私の好きなとこだよー」
前回のお買い物で給金を結構使ったけど、貯金をもってきたから2人分のお茶を楽しんでも充分余裕はある。
10分位歩いて曲がり角を曲がれば目の前。
お昼が近いのでそれなりに人も入ってる。
「軽食屋か?」
「そう。約束したカフェね。いいから、満席になる前に入ろ!」
今日はリヴァイの休養日。そう。休養日。
カフェのカウンター近くに席を取ると早速メニューを開いて今日のおすすめランチメニューとデザートメニューに心が躍る。
向かいにいるリヴァイはメニューを開かず店の真ん中のカウンターとよく見える茶葉をじっと見つめてる。
「お前、紅茶好きか」
「うん、好きだよ。ここのおすすめの紅茶は」
「試飲できるのか」
「多分できるよ」
そこにいつもの店員さんが笑顔で「いらっしゃいませ」とにこやかに声をかけてきた。
私も笑顔で応じていると突然リヴァイがカウンターケースを指さし、とんでもないことを言い出した。
「そこの茶葉全部試飲したい」
「「はい?」」
店員さんと私が揃って思わず出たのは間の抜けた一言だった。
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「こちらがヌワラエリヤ、アッサム、ウバで…」
頷きながら試飲用のカップに口をつけるリヴァイ。
「こっちは味がしっかりしてるな」
「これはミルク入れても美味いかもな」
「ほう、香り高いな…」
まるで品評会のように色々な紅茶を試飲しては味の感想を述べるリヴァイに店員さんは次々紅茶を差し出す。
お昼時の忙しい中リヴァイの無茶振りにも対応する店員さんは飲食店員のスペシャリストに違いない。
何だか今注文するのも申し訳ない気がしている。
2人で来ているのだからリヴァイだけではなく私にも試飲カップが並べられていて暫くは紅茶を飲みたくない。
「ティアナはどれが1番好みだ」
どこかキラキラした瞳でリヴァイに訊ねられる。
あれこれ飲み過ぎてもう味の違いが分からない。
好きな紅茶、、この中から?どれだっけ?
無難にいつもの銘柄を答えるしかなかった。