第12章 エルヴィンの思い
ハンジは執務室でモブリットに急かされながら書類仕事をこなし、やりたい実験のアイディアを紙に綴っていく。
「モブリット、お茶ちょうだい〜」
「またですか、僕がいないからって逃げないで下さいよ」
「えー、ソンナ事しないよ」
「前科があり過ぎるんです!」
「あははっ!」
笑い事じゃない。信用出来ない、、等ブツブツ言いながらもお茶を入れに席を立つモブリットに笑いかける。
もうすぐティアナは私の部下では無くなる
他の部下達にどう説明しようか、それよりもティアナは、、エルヴィンの気持ちも分からなくもない。
でも、いや、恐らくはこれが最善策だ。
「どうぞ!これ飲んだら、実験の要望書、計画案についてを纏めますよ」
「そうだっ、やってみたい実験が目白押しなんだった!」
研究と実験が命のハンジが何処か心在らずの様子にモブリットは不思議に感じた、が期限は待ってくれない。
「ねぇー、結構頑張ったと思うんだけどマダあるの〜?」
「ゴールまで後、少しです、もうちょっとですから!とりあえず夕食とってきます、逃げないで下さいね」
モブリットの後少し。はまだかかりますよ。だ。
明日に回してしまえばいいのに優秀なモブリットは一度取り組んだら最後まで尻を叩く。
(はぁあ〜、ティアナのとこに行きたいんだけど…マジで)
いつ異動になるのかもエルヴィンに問いただしたい……
(よし、それならこんなコトしてる場合じゃない!)
そう思ったハンジはモブリットが帰って来るまでに仕事から脱走した。いつものように。
コンコン、ティアナの部屋前でノックしても反応がない。2人部屋は1人部屋になってるはずだからティアナしか居ないのに…どっか行った?
探そうにも広い本部内でハンジ1人では探すにも限界がある。闇雲に探しても時間の無駄だ。待つにしてもいつ戻るか分からないし就寝点呼までは流石に待てない。
(うーん、参ったなあ)
そろそろ勘のいいモブリットが突き止めて連行される。(もしかして、あの場所かなあ。なら、邪魔出来ないな)ハンジは来た方向からエルヴィンの執務室へもう一度向かった。
「おーい!エルヴィン!」
ノックなしで入ると顔を上げず書類を確認しサインをするエルヴィンがいた。