第11章 夜の帳と命令
ふぁーあ。つい、でてしまう欠伸を噛み殺して、今日の仕事を確認する。ハンジ班は二手に分かれて訓練組、書類仕事の手伝い組に分かれている。
書類仕事は得意だが、ハンジさんの執務室はごちゃごちゃしていて必要なもの、そうじゃないものの選別、掃除と訓練より厄介だ。
ティアナはハンジの独断で書類仕事に回された。
今日はハズレかな、とハンジの執務室へ足取り重く向かいノックしようとした時ハンジの大きな声が扉越しに聞こえた。
盗み聞きはいけない。と離れようとするが自分の名前が出てくると気になってしまう。
「それはエルヴィンの勝手な言い分だろ!あなたはティアナを兵団から追い出したくても追い出せないからせめて私の班から追い出したくて仕方ないんだ!!」
ドキン、ドキン。心臓がいつもより早く動く。
身に覚えがあるだけに、この話の続きが怖い。
「ハンジ、適材適所だ。彼女には事務を担当してもらう。前線には出さない」
あぁ、やっぱり。
「適材適所?それは単に前線に出したくないって事だろっ!」
「ハンジ、これが今のベストだ。彼女には私から異動を伝えるが班長であるハンジからも言い聞かせて欲しい。」
「私はそんなのは伝えない。そもそも本人の意思を無視してエルヴィンの思いだけでそうしたいってのは横暴すぎる。兵団から追い出せなかったからって事務官に。てのはティアナは望んでない」
「そうか。ならば命令すればいいか?」
「命令ね、笑っちゃうよ。個人的な要望は例え命令でも聞く必要がない。話はそれだけかな。結構忙しんだ。エルヴィンも書類仕事やら忙しいだろ。執務室には一人で戻ってくれ」
マズイ、早くここから立ち去って…立ち去るよりも扉が開く方が早く見つかった。
「ティアナ丁度よかった。君に話がある。執務室で話そうか」
「待って、私も行く!」
「いや、遠慮してくれ」
「ティアナ!行くことないよっ!」
力なく微笑んでハンジだけに「大丈夫です。」
と告げると満足そうなエルヴィンを先頭にエルヴィンの執務室へと。
何度もした話に少し変えた条件でyesと言わせたいらしい。
でも私の気持ちは変わらない。
誰に何と言われようとも。