第9章 壁外調査の後
ティアナが言い終わる前にドアが勢い良く開き、ハンジとモブリットが入ってきた。
「ティアナ、私にもお茶くれない?喉乾いて仕方ないんだ。」
開口一番、飲み物の催促をするとティアナの隣にハンジが座る。
「やっぱり。仕事放ってきましたね、モブリットさんが困ってます」
怪訝な様子でハンジ達をみるリヴァイをよそにハンジは「モブリット、ここに座りなよ」と別のソファーを指さし促す。
「班長、まだ仕事詰まって、」
「休憩、休憩。」
項垂れるモブリットを不憫だと思いながらティアナは再度お茶の用意の為に給湯室へ向かう。
「今夜はここに泊まってこうかなー。部屋はあるし。」
「あんた仕事詰まってんですよっ!」
一気に騒がしくなったことでリヴァイの機嫌は急降下する。
「おい、クソメガネ。」
「なぁに?私はクソメガネじゃないよ。」
「俺は宿舎に戻る」
「連れないなぁ。お茶くらいいいじゃん、ティアナもう用意してるし、あなたは今夜ここでゆっくりするといいよ。」
「なに企んでやがる。脱走でもすると勘違いしてんのか?」
「いいや、そんな心配なんかしてないよ。」
眉間がよって険のあるリヴァイに飄々と答えるハンジ、終始困った表情のモブリット。
「なら、茶飲んだらサッサと出てけ」
「ハイハイ、そう目くじら立てないでくれよ。さっきも言ったけど休憩しに来たんだからさ。あ、男同士でモブリット置いてっていい?」
「ふざけるな、とっとと全員戻れ」
そこにハンジたちの分も用意したティーセットをトレイに乗せたティアナが戻ってきた。
「ハンジさん、リヴァイさんを困らせないで下さい」
「おや、だいぶ仲良くなった?」
「はぁ」ため息がティアナから零れる。
「どうぞ、お茶です。」新しい紅茶が注ぎ、それぞれの前にカップを置いていく。
「ふぅ、ティアナが淹れたのは最高だね」
「ありがとうティアナ」
ハンジとモブリットが一口飲んだところでティアナは尋ねる。
「それよりも本当に私たち泊まっていくんですか?」
「いやー、ちょっと無理かな。」
「ちょっとじゃないです…」
カップを傾けながらもハンジとモブリットの掛け合いは続いていく。