第9章 壁外調査の後
紅茶を飲み終わったハンジは腕を上に伸びをしてから立ち上がる。
「ご馳走様。」
やっと戻る気配のハンジにモブリットは安堵する。
腕組みしてそっぽを向くリヴァイにハンジは呼びかける。
「ねぇ、リヴァイ。」
「なんだ。」
「仕事手伝ってくれない?」
「 は?」
「あなたにはゆっくり休んで欲しかったけど思いのほかに忙しくて。手伝ってくれると大変有難いんだ。」
「ハンジさん、私、戻ってすぐに仕事入りますから。」
「勿論、ティアナにも頑張ってもらうよ。でも人手が欲しいんだ どう?リヴァイ。」
「わかった。」
「リヴァイさんは休んでください!」
「元々、ここに泊まってくつもりはない。」
「でもっ 」
「決まり。じゃあ、片付けてから兵舎に戻ろうか」
モブリットはカップと空いた皿を片付ける為に給湯室へ。
リヴァイはバスルームに置いた兵服を取りに。
ハンジはリヴァイにリュックを差出している。
唖然としている間に片付けは終わり、ハンジに押されながら気づいたら外にいた。
上着のポケットから鍵を取出しモブリットへ投げ「鍵、よろしく!」ハンジはティアナの肩を抱きながら歩いていく。その後をリヴァイ、鍵を掛け終わったモブリットの順で兵舎に戻った。
「班長!モブリットさんまで!どこ行ってたんですか?!」珍しく二ファが詰め寄るとハンジは胸の辺りで両手を上げ、宥めている。
元より書類や本などが積み重なるハンジの執務室は今夜の書類と格闘する為、なんとかスペースを開けようとケイジやアーベルがテーブルを占拠する本を避けている。
「ごめん、ごめん。助っ人呼びに行ってたんだ、ほら、ティアナもリヴァイも!」全く納得してない二ファだが、文句を言い続けても意味が無いので、いつまでもテーブルにある書類をみては仕分けする作業に戻った。
「ふぅ。二ファ怖いな」「当たり前です。」すかさずモブリットがツッコミを入れる。
「汚ぇな、仕事できる環境じゃねえ」ボソッとリヴァイが言うと「アハハ」とティアナは苦笑いするしかない。
「リヴァイはティアナと資料室にそこの本を返却。ケイジ達は期限順に書類分けてやっつけて。モブリットと私で出来上がったのを確認、サインしてくよ!」
その場にいた人間は半ば徹夜を覚悟し、それぞれ動き出した。