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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第48章 開幕のベルを鳴らせ



 「ここからは馬車を降りていく、ハンジあとは任せた」
 「はいよ、任せて」
 「リヴァイ、行くぞ」
 「ああ」

 音をたてずに馬車から降りて暗闇の中に二人が消えた。もう隠す必要もないだろうと御者台に乗っているモブリットに声をかける。
 「ちょっと、上司に黙ってるのはどういうことかな?」
 「もっと上の上司からの指示でしたから」
 「他に指示されていることがあれば聞くよ」
 「十五分待って合流できない場合は補佐官は縛って突入です」

 モブリットの淡々と話す内容に自分を拘束すると聞いたエリーは憎々しげにこちらを見ている。
 エルヴィンやリヴァイ以外は大したことない相手だと侮っているのがわかりやすいね。

 「モブリット、縄持ってきて。今のうちに縛っておこう」
 「了解」
 「ハンジさん、まさか拘束するんですか?私がなにかしましたか?」

 ああ。もう。芝居は芝居小屋でやってくれ。あなたは本当にわかりやすくて自信過剰だ。
 「よいしょ。暴れないでくれよ?力が入りすぎると血が通らなくなるからさ」

 こちらが本気で縛るつもりなのを縄を見てやっと理解したエリーは抵抗しようと暴れるがこっちは命がけで巨人とやり合う為に訓練はかかしてない。さほど困ることなく拘束する。身動きできないからか、口がよくまわる。

 「モブリット。口も閉じさせたいんだけどなんかないかな。このストールだともったいない」

 口も体の動きも封じて、時計を見た。

※※※

 出来るだけ背を低くして行くと一軒家がぽつりとたっている。
灯りがついていて中に人がいる可能性が高いが移動手段の馬、馬車は見当たらない。

 家の周りを確認しエルヴィンは表。俺は裏から挟み撃ちする。
人質件、交渉に使われるだろうティアナ の危険を避ける為、静かに、速やかに制圧する。
 大人しく待ってろ、すぐにこんなとこから出してやるから。


 裏口から侵入するとすぐに光るカフスボタンらしきものが転がっている。手に取っていると銀でできた意匠は細かくそこらのチンピラは手にしない代物だ。ドアがある度に気配を探り、中を確認する。
 そろそろ表から入ったエルヴィンにかち合うはずだが。

 誰もいない。家の中心である部屋に入るとエルヴィンが手にしている紙に目を落としている。
 その顔には焦りが浮かんでいる。
 嫌な展開だ。

 
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