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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第48章 開幕のベルを鳴らせ


目的の飲み物を手に戻るとエルヴィンとエリーが身なりのいい男女と話している。
俺達がそばに寄ると簡単に紹介しながらグラスを手に取る。
「ああ、すまなかった。ティアナ悪いがハンジの様子を見てくれ。リヴァイ、お前はここにいろ」
ハンジのもとへティアナは向かい大きな声で巨人について話してるハンジを宥めている。

場もだいぶ砕けて来た頃にまた主催者が一段上からグラスを鳴らす。

「さて、今夜は王都で有名な歌姫が皆様を天上へ誘って下さりますぞ。ご紹介しましょう!」

主催者が横にずれて、あの女が中央に立つ。
優美な仕草で礼をとると、主催者が女の紹介をすると会場から驚きの声が聞こえる。目の前の男女も目を見開き喜んでいる。
それをエルヴィンはさも珍しい出来事に驚いている態度だ。
エリーもわかっているのか、まぁ!とかなんやら言っている。

会場の音楽が次第に消え、明るくなっていた照明は少しだけ落とされた。
期待しているような招待客はそれまでの騒がしさを潜めて、今か今かと待っている。



そして先程とはまったく違う音楽が流れ始め胸に手を置いた女が歌い始める。
俺にはうまく表現できないがその声量は会場に響き、自信に満ちたような大胆で力強く聞こえる。
ティアナとは比較するのもおかしいが聞いてるものを熱狂させるのもわかる気がした。
簡易な舞台の室内バルコニーに招待客は釘付けだ。

どこで仕掛けてくる?
ティアナへ視線を動かす。
よく見えないがティアナの口は何かを呟いている。それよりハンジの姿が見えない。
あの馬鹿!どうして離れてやがる!
暗めの会場なら攫うのは簡単だ。
思わずエルヴィンに目を向けると強い視線と微かに首を横に振る。

確かに事前の話で目を離さず、一人に見せかけ敢えて隙をつくり接触を待つと言ってたが。
焦りと不安が膨らんでくる。
今すぐに側に。そう思うのにその度にエルヴィンが視線を強める。

クライマックスなのか歌声は更に激しく高らかに響く。
チラチラとティアナの様子を伺うと舞台を見つめ、唇が動いている。
歌っているのか?

舞台上の声が途切れると照明が明るくなる。
女は一礼すると観客から割れんばかりの声、拍手。

顔を上げた女はティアナの方向に手を伸ばしはっきりと言った。

「さぁ、こちらにきてアーリア」


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