第9章 壁外調査の後
訳は分からないが、とりあえずゲストハウスに到着した。
もしかしたら、壁外調査の報告や視察に誰かが滞在?
ハンジさんがリュックに詰めたものは客人に?
<わからなければ、解ればいい>
不意にハンジさんの言葉が浮かんだ
コンコン、、誰も居ない?コンコン、、、
ノックしても応答がない。ドアノブを回すと鍵はかかっていない。
「失礼致します」
玄関から一番近い扉をノックして開くとダイニングテーブルとお揃いのベンチソファが目に入った。
座り込む後姿で、、わかってしまった。
(イザベル…ファーラン…)
「…リヴァイさん」
膝をついて声をかけても反応がない。
そっと横に座ってリヴァイを抱きしめ右手は後頭部、背に回した左手は軽く背中をたたく。
トン、トン、トン。リズムを伝える様に繰り返す。
「泣いて」
トン、トン、トン。
ティアナは自分の肩にリヴァイの額が乗るように俯かせる。
しばらくの間そうしているとリヴァイが縋るようにティアナの両腕を握る。
「……ぁ…くっぅ…あぁ…」
押し殺した嗚咽と両腕と肩から伝わる細かな震えがティアナの心も薄墨に染めた。
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「…リヴァイさん」
_来るな
俺は一人になりたい。
本当に一人になっちまったから。
_触れるな、、失せろ
…言葉がでねえ、 振り払えないのは何でだ
トン、トン、トン。かすかな温もりが包みこんで心臓の音が響く
_やめろ、放っておいてくれ。
そう叫びたいのに、、
トン、トン、トン。
「……ぁ…くっぅ…あぁ…」
声が漏れる。
ガキみてえにピーピーと情けねえ…
今は、今だけは…
「悪い…」
腕の力を抜き呟くと一度ゆっくりと背をさすられ温もりが離れていく。
「シャワー浴びて下さい。タオルは脱衣場にあるはずです。」
ティアナは側に置いたリュックから一番上に積まれた服を差し出した。
リヴァイがバスルームへ入ったのを確認してリュックから缶入りの茶葉を取り出して簡易的な給湯室でお茶の準備を始めた。