第47章 動き出す過去※
本音を言えば遠慮してほしい。だけど最近の彼女からは以前のような敵対的な態度はなく寧ろこちらに気をつかっている。
断る理由もなく周りを見て了承すると私の隣席について何気ない会話をしている。
同僚も打ち解けてきて会話が進んでいくとやっぱりエリーさんに恋人について根堀葉掘り訊ねている。
私の知るエリーさんは個人的な話は嫌っていたようにみえたのに気さくに答えている。
本当に今の人に恋しているのかもしれない。
食事を取り終えると忙しいのか、先に席を離れた。
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笑いたくなるのを堪えてくだらない会話に付き合ってみれば、まだティアナは警戒していてまるで小動物のよう。でもすぐにその警戒も取り作った態度も吹き飛ぶ。
それを思うと愉快でたまらない。
明後日は休みだし、もう外出届も受理それている。
あの女を追い落とすのも……それ以上だって、不可能じゃない。
※※※
会議に会議を重ねた結果、中央を納得させるのは資金面だ。あいつらは前線で心臓を捧げる仲間にこれっぽっちの思いもない。
自分の損得、それしか頭にねぇ。
そんなこと説明されるまでもないし、いちいち会議にかけるまでもない。
下らねぇ時間に苛ついて俺は屋内の修練場で遅くまで体を動かすことにした。
兵士の何人かも自主的に訓練している。
(この内、何人が……)
考えを振り切るように更に速く鋭く動いていると珍しくエルヴィンがやってきた。
「やぁ、身体を動かしてないと鈍るからね。たまにはみんなに混じって鍛錬することにしたよ。」
いつもの兵服とは違い、ゆったりとした格好で俺に向かい合う。
お互いに出方を見ながらすぐ対応できるよう構える。
先手を打ったのはエルヴィンだった。デカい図体の癖に早い踏み込みと共に拳が俺の横を掠める。
それにあわせエルヴィンに足払いをかける。
一進一退の攻防が続くなか、結局は決め手がなく時間がなくなった。
気づくと修練場にいた奴らの他にも人が集まり、ガヤガヤしていた。
(この調子だと賭けでもしてそうだな)
さっきまでの集中が切れると回りの様子も見えてくる。
そして汗で服が湿って気持ちが悪い。
とっくにエルヴィンは出ていった後で、俺も自室でシャワーをあびてスッキリしようと修練場を後にした。