第46章 敵の敵は味方
ティアナの私室がリヴァイの隣になってからはよっぽどのことがない限り一言を交わす為にリヴァイは顔を出した。
エルヴィンをはじめ意外と思い次には呆れた様子を見せ、ティアナも無理せずとも……と言ってもリヴァイは聞かない。本心ではティアナもうれしいが兵士長である彼の仕事に差し障りがないか、気にしている。そんなことを言っても聞かないのだけど。
「急だが、明日の午後はひさびさに休めそうだ。ティアナの予定は空いているか?」
ドア越しにいきなりの話にキョトンとするが、せっかくの休みなのに申し訳ないという気持ちとリヴァイを時間を過ごせるという誘惑にどう返事をしようと迷っているとせっかちなリヴァイはどうなんだ。と強めに聞いてくる。
「特に予定はないよ?」
「わかった、詳しくは明日だ。サッサと寝ろ」
ティアナのお休みを聞く前にはリヴァイはいなくなっていた。部屋は隣だがそこに戻らないということはまだ仕事があるのだろう。自分の休息に使って欲しいが「ティアナといるほうが休める」と何度も言われては断れない。
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翌朝は少し曇り空だが雨が降る前の匂いはしない。
いつも通り、事務仕事に精を出しているとエリーが訪れた。途端に事務室に緊張が走るが以前の態度が嘘のように物腰柔らかく、仕事の話を室長としており、ティアナに嫌味も高圧的な態度もなく出ていった。
「ああ、今日も無事に済んだけどどういう心境の変化だろ、いつ前みたいになるか逆に怖いわ」
態度を改めてもすぐには信用されない。それだけ、彼女は目下に厳しかった。
ティアナについても絡んでくることもなく、良いことのはずなのに、どこか不自然で警戒してしまう。
兵団内では恋人ができて丸くなったんだろう。と言われているが嫌な雰囲気が消えない。自分の妄想だろうか。と考えていると手が止まっていると注意を受けてしまった。
これからのリヴァイとの時間の為にも気を引き締めて仕事に集中した。
※※※
その頃、リヴァイは分隊長クラスを集めた会議に出席していた。エリーは補足資料を取りに行っている。
「今夜の休みだけは譲らねぇからな、邪魔するな」
会議内容と関係ないプライベートについて念を押していた。気持ちはわからんでもないが……とエルヴィンとミケは頭を抱えた。