第46章 敵の敵は味方
休暇を楽しんできたというアリバイ作りに公演だけではなくシーナのあちこちにも出かけていたので休むどころか逆に疲れが溜まっているけれど目的を知られる訳にはいかない。
興味のない建造物、美術館、計画的に動いた。
シーナでできることはおそらくもうない。
高揚する気分と同時に自分がなぜここまでティアナにこだわり疎んでいるのか?
眠りに入る瞬間に浮かび上がる。
睡魔に負けて朝を迎えるとそんなことどうでもよくなる。
ただ気に食わない。何もできない下っ端のくせに。幹部の覚え愛でたく、あのリヴァイ兵長の傍にいることも許せない。どこから見てもティアナより兵士としても女としても私ほうが優れている。
早くあの女を追い落として兵団から元の居場所からも蹴落とされればいい。
※※※
「休暇はどうだったかな?」
「とても良かったです。こうして振り返ると休暇前は余裕がなくて皆さんに申し訳ない態度をとってました。お詫びにもならないかと思いますがお土産とお詫びしてきました」
「おや、私はまだもらってないが?」
「ふふ。ちゃんとありますよ。団長はこちらがよろしいかと」
「ああ、これはいいペンだ。年甲斐もなく催促してすまないね」
にっこりと笑いながらお茶を書類の邪魔にならないところに置くと君も飲むといい。休憩だ。と和やかな時間が流れる。
(見張らせておいて良い休暇だったか?なんて笑えるわ)
休暇の間に溜まってしまった仕事を片付けながら、残業かしらね。早く部屋に戻りたいわ。
見透かしたように団長は休暇あとに仕事漬けなのも疲れるだろう。と残業なしで業務を切り上げるように言ってきた。一応そうもいかないです。と言葉をかけるとだいぶ今日で進んだから。と早めに仕事から上がらせてもらった。
「それではお言葉に甘えます。明日からは通常通り頑張りますね」と部下思いの上司を立てる。
部屋に戻ると早速レターセットに向かい相手が無視できない言葉を綴っていく。
検閲されても問題はないように細心の注意を払って出した手紙はどんな効果を出すだろう。
相手が鈍くなければ気づく。
そして私に連絡を取るはず。
どんな手段をとるのかは知らないけど、必ずね。
そのときが楽しみで仕方ない。
エリーが蒔いた種はすぐに芽をだした。
その話を聞いてエリーはただ微笑んだ。