第46章 敵の敵は味方
慌ててリヴァイから離れ身なりをさっと整えると見計らったようにドアの向こうから訪問者の声がする。
「リヴァイいるか?」
舌打ちしながら、ドアに向かい少しだけ開き不機嫌を隠さずに返事をする。
「すまない、明日でもいいかとは思ったんだが・・」
「なら明日にしろ」
身の置き所がなく、ついでに消灯は過ぎている。どうしようかとティアナがハラハラしていると小声でやり取りをしているリヴァイの声が鋭くなっている。
「わかった。ここでは話したくない。部屋が汚れるからな」
度の過ぎる潔癖症なリヴァイの言葉に笑い声が混じる。
(この声はエルヴィン団長だ・・)
「ところでお前が隠している女性にはすまないと伝えてくれ」
バレてる。完璧にバレてる。どうかしばらくは団長と顔を合わせませんように。。
一旦ドアを閉めてリヴァイはティアナに鍵を渡してため息をついて「すまないが邪魔が入った。続きは今度だ」と不本意そうだ。
「気にしないで。ちょっと眠くなってきたから自分の部屋に戻るね」
渋々とリヴァイが出ていくと渡された鍵で施錠してティアナは自室へ戻り着替えてベッドに入った。
※※
「で、とっとと話せ」
せっかくのティアナとの時間を邪魔されて数段無愛想な様子で訊ねる。
心の中でエルヴィンは苦笑しながら飲み物を差し出す。
「休暇中の彼女についてだが、どうやらシーナで羽を伸ばしているらしい」
「シーナ観光か。健全じゃねぇか」
「観光だけなら問題はないんだがな」
「いつも思うがはっきり言いやがれ。まどろっこしいんだよ。てめぇは」
「せっかちだな、邪魔したのは悪かった」
悪いと思ってもいないだろうが。とリヴァイが毒づいても特に気にしないで話しを続ける。
「エリーはティアナが目障りで仕方ないらしい。ティアナの過去を探っていたんだろう、それでどうするつもりかは不明だが」
「……」
黙って話を促すとエルヴィンはエリーの休暇中の行動について順を追って話していく。
「どこからの情報かティアナがシーナにいたことは知っている。ティアナの情報を得る為に金をかけている」
「あのクソ女が」
リヴァイが吐き出すように言うとエルヴィンは面白そうにしている。
「ああ。仲間を陥れようとするのは見逃せないな」