第9章 壁外調査の後
今回の拠点に到着し、急いで物資の設置にはいる。
キース団長は間に合わせの会議用テントに。
エルヴィン分隊長はみんなに指示をだしている。
ミケ班は周囲の警戒。
ハンジ班は、拠点設置と物資補給。
その他の班は現存兵、負傷者の確認と収容。
時間に追われファーラン達の安否確認は今は出来ていない。
「ティアナ!!こっちに来てくれ!」
「はい!」
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俺は忙しく大声で動く兵士を横目にただ、そこにいる
ぶつかった兵士が何か言っていたが何を言ってるのか、分からない。
どのくらい、そうしていたんだろう。長い悪夢のようで一瞬のようで。
気づいたら馬に跨り、帰還…壁内へと走っていた。
濡れた服が張り付いて気持ち悪ぃ、埃が気になる。
風呂に入りたい。
早く眠りてえ。
早く一人に…
あちこちに飛ぶ思考をまとめられず、とにかく馬を走らせる。
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壁内に到着し本部への道を通る。
これからやることは沢山ある。
だけど、リヴァイは……
今の彼には何も届かないし、何も出来ることはない。
馬から降りて係に引き渡す。
ハンジは帰還前にミケからリヴァイの仲間の最期を聞いていた、その後のエルヴィンとのやり取りも知っている。
初の壁外調査。その経験はハンジもミケもエルヴィンも…調査兵員が全員が必ず打ちのめされ、心が折れそうになる。
例外者はないだろう。
それでも、寄り添う誰かが居れば、信念に縋れれば、忙しさに身を任せられば…
虚ろな目をしたリヴァイを探しあて、何も言わずに腕を引き、比較的誰も来ない場所に連れていく。
「リヴァイ…ここに居てくれよ…」
瞳を覗きながら語るも、リヴァイからは、うんともすんともない。
「…………」
「さあ、ここに座って。後から迎えにくるから、さ…」
両肩に手を置いて座るよう促す。
茫然自失のリヴァイを部屋には戻せない。
仲間を、ファーランを感じてしまう。
仮に何らかの指示を出しても、きっと聞こえない。
ここが、正念場だ。ハンジはリヴァイを残し、壁外後の狂ったような忙しさに戻った。