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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第45章 独りじゃない



事務室はとんでもなく息苦しくギスギスとしている。
カレンが戻った旨を小声でかけると多くの事務官が振り向く。
一部は控えめな笑顔で一部はそれどころではないといった様子。
これはすぐにでも取り掛かったほうがいい、とティアナが書類と格闘していると涼やかな声が聞こえてきた。みんなは明らかに”まずい”と顔に出してしまっている。それをエリーさんは見逃さずグルリと周りを見渡す。目があった。しまったと思うのは自分だけだろうか。

「あら、もう出戻り?腰を落ち着ける暇もないのね」

ストレートな嫌味に言い返すよりも早く用件を済ませて仕事を進ませたい。

「…こちらで少し勉強したいと思いまして」

間があったせいなのか、気に入らないと全身で表し出来上がった訂正分を私の机にパサリと置く。

「今から出来上がった訂正後に、、そうね。それぞれ不足や書き損じを考えて20部は複写してもらえるかしら」

綺麗な微笑みをたたえているエリーさんに室長が抗議する。

「いくら補佐官といえどっ! 」

先程の笑みを消して室長の言葉を遮りエリーさんは堂々と通告する。

「帰還した時に万が一でも不備、漏れ、不足があってはならない。そうでしょ」

話は終わったとばかりにエリーさんはくるりと出ていく。
張り詰めた空気が微かに萎んでいくがすぐにみんなは手を動かしている。
なるほど、この調子でずっとやられていたならみんな余裕もなくなるわけだ。
理不尽と思うがこれ以上の無理難題を吹っ掛けられる前にかく手を動かし複写し続けた。

交代で休憩をとって机に向かい、出来上がったものはトリプルチェックする。念には念を入れているがその分の時間も馬鹿にならない。
休憩時にいつからこんな風になっているのかを聞いてみると壁外調査が決まる前からひどくなってエスカレートし事務担当は疲弊していると答えられた。
どうしてあんなに高圧的なんだろう。あれじゃ敵はできても肝心な時に困るのはエリーさんだと思うんだけど。

「気をつけなよ、どういうわけかティアナに一番あたりが強いから」

「うん、何とかこれ以上の騒ぎはおこさないように気を付ける。ありがとう」

さて、仕事にもどるか。とグッと背を伸ばしてまだ積まれている処理を待っている紙を手に取った。

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