第45章 独りじゃない
それからはハンジ班にいた頃のように過ごしている。
もちろん、この脚ではみんなのように動けないが事務仕事をしていたので実験のデータ、研究予定日程などを任された。
相変わらず慌ただしいハンジ班は定時なんて存在しない。
何度も暴走するハンジさんを何とかモブリットさんが抑えるけどその頃にはみんな疲れ果てて元気なのはハンジさんだけ。ということも懐かしい。
「きったねえな。今日は終いだ、こんなとこ長居するとこじゃねえ」
ヒラの私たちよりも忙しいはずのリヴァイが時折、頻繁に、いやほぼ毎日?顔をみせては進捗状況と班員の様子の様子をみて半ば強制的にその日の仕事を終わらせる。
どうしてもあと少しという時は「休憩くらいはとらせてやれ」とハンジさんとモブリットさんに言い残す。
おかげでハンジ班の効率がよくなり結果としては良い。
(ハンジさんは不満そうだけど)
そうこうしているうちに壁外調査の日取りが決まり、兵団内には独特の空気が漂っている。
団長をはじめとして幹部、班長はどこにどの班を配置するか、どんな作戦を立てるか。
前線にたつ兵士はギラつきながらも生きている実感を感じたくて訓練の痛みや、逆に快楽に耽るものもいる。
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前線に出れない。足手まといになるのはわかっているけど、どうしても罪悪感が募る。
今、笑いあっている相手が無事に帰還できるのか。五体満足に帰還できるか。自分にできることは?日が迫るにつれて怖くなる。前線にたってた頃はそんな気持ちを感じる暇はなかったのに。
強張った顔をみせるわけにはいかない。誰よりも怖いのも恐れているのも勇敢なのも壁外に出るみんなだ。
安全なところにいる自分がわかった振りなんてのはおこがましい。準備の手伝いしかできない。
「無理はすんな、倒れられてみろ。俺の士気は確実に下がる。俺を殺す気がないならな」
とてもリヴァイらしい口の悪い優しさと「今回は短距離の調査だ、任せなさい!」心配を軽くさせるための軽口をいうハンジさんも、全員、無事に帰還してほしい。
たとえそれが奇跡だとしても普段は祈らない空の上の誰かに願う。
どうか、どうか、みんなが無事で壁をくぐり帰還できますように。そんな奇跡はないと身に染みているのに祈らずにはいられなかった。