第45章 独りじゃない
通常業務という便利な言葉とは縁のない幹部組はほぼ残業している。
誰も文句は言わないし言う気もない。今夜も面倒な中央への報告書、予算案、等々についてなど考えることもやることも腐るほどある。幸いなことにリヴァイは少ない睡眠でも十分だ。ある程度目途がついたところで時間を確認すると深夜を回っていた。
(ティアナが足りねえ)そういえば最後にティアナの肌を感じたのはいつだったか。思い出そうとすると途端に寂しい気になった。(らしくねぇ)自嘲しながらせめて寝顔だけでも見たいと欲求に素直になった。執務室の明かりを消し出たところで今、見たくない顔のエルヴィンがこちらに向かっているのを確認した。見なかったことにしたかったがそうもいかず、エルヴィンが指先で団長室の方向を指し示した。
ちっと舌打ちしてどうやら今夜もお預けだと観念した。
先に団長室についているエルヴィンは自分の手で紅茶の用意をしているが正直美味いとは言えない。自分で淹れたいが部屋の主にいうのはさすがに躊躇われた。
おとなしくソファに座って待っていると水に近い薄い紅茶が出てきたが一口含む。
「すまないな、できるだけ他の人間には聞かせたくない話なんだ」
「お前の話は毎回そうだろうが」
憎まれ口を叩いてもいつもの笑みでかわされる。
自分も大抵だが目の前の男は一体いつ寝ているのか、気遣いの一言をかけようとしたが次の言葉でそんな気持ちは吹っ飛んだ。
「は?俺の聞き違いじゃなきゃティアナをハンジにところに預けた。と聞こえたが幻聴か?」
「聞き違いでも幻聴でもないな、ティアナも事務仕事に慣れてきてはいるが、どうもエリーとの反りが合わないらしく現場から声が上がっているところにハンジが来た」
「ティアナに何しやがった?」
「一つ一つは些細なんだがどうもティアナへの当たりが強いらしく丁度いいと思ってな」
「エルヴィン、直属の部下ならしっかり手綱は掴んでおけ。迷惑だ」
「それについては言い訳しないが、エリーのティアナへの行動はお前絡みだとみている」
「一人よがりな感情で動くやつはいらねえだろ」
「お前のいう通りだ。こちらでエリーについてはそれなりの対応する」
「今度はヘマすんなよ」