第45章 独りじゃない
「あれ、眉間に皺が寄っているけどリヴァイからうつった?」
自分ではそんなつもりはなかったが確かに問題に関して悩んでいるのは本当であるし、相談するにもリヴァイに話そうものなら激昂するのは目に見えている。ミケが最適か、と考えてはみるも調査兵団でも戦闘に特化している班では動きにくい。
とりあえずハンジの用件を聞こうとすると渡りに船の用件だった。
「あのさぁ。ちょっとこっちの研究が佳境に入ってて助手つけて欲しくてね、最適な人材を求めているんだよね!」
誰も人材を派遣すると許可をしてはいないが良いタイミングではある。ティアナをハンジの手伝わせ、その間にエリーの事を片付けよう、と判断した。
「ハンジ、まだ俺は許可した覚えはないが丁度いいタイミングだ。ティアナをつけるのはどうだ」
一度断られてはいるものの今のハンジのテンションなら大歓迎だろうと提案すると大喜びで奇声をあげ、「ほんと!?マジ?私リヴァイに殺されたりしないよね?」と一方的に話してるがハンジの中では決定事項なのか、スキップしながら嵐のように出ていった。
若干の疲れを感じつつも一つの懸念があっさりと決まったことに安堵したがリヴァイをどう説得するかに唸った。
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「というわけでしばらくの間だけど私のところで色々してもらうから覚悟してね!」
すぐに事務室へ向かったハンジは引き継ぎも何も考えずに強引にティアナの首根っこを掴んで研究棟へと連れ出した。その場にいたレイモンド達はハンジの奇行に驚きつつも安心したのと同時に引き継ぎ作業で残業を覚悟した。
「ハンジさん!ちょっと待って下さい!話が見えません!!」
「だ~いじょぶ、許可はとってるし何も問題はないから。ね!」
ティアナはハンジの後ろ姿を見ていつも不思議だと思う。
言ってることも行動も突飛で振り回されるのに嫌な気分にはならない。むしろついていきたいとすら感じる。
そのハンジが大丈夫というならたぶん大丈夫、なんだろう。
ただ、残された事務の仕事を中途半端にしてしまうのが心苦しい。それにエリーに言われたことも事実で一つ所に落ち着かない、守られてるばかりの自分が悔しい。
陽気なハンジに引っ張られながらどんどん暗い思いを抱えていた。