第45章 独りじゃない
「ティアナに危害を加えようとしている人間は侯爵がある程度は抑えている。だがこの二人は迂闊に手を出せば自分の身の破滅も厭わなさそうだ」
「お前が弱みを持っている奴から力を削いでいけば 」
「それは得策じゃない、彼らの警戒心を強めるだけだ」
「なら黙ってみてろってのか」
慎重なエルヴィンにリヴァイの苛立ちが向かっていく。
せっかく敵はわかっている、それなのに手をこまねいているいる状況が我慢できない。
「気持ちはわかるが時期を間違えるとこっちが深手を負うどころかティアナの命すら危ない。シーナの貴族らに詳しいクルト達の情報も待つべきだ」
エルヴィンは正しい。危険は早急に排除すべきだがティアナの安全が優先だ。煮えたぎる思いを抑えてリヴァイは訊ねた。
「クルト達から連絡があればすぐに俺にも知らせろ」
「もちろんだ、あとハンジにも話しておく」
「あいつが役に立つのか不安だがな」
「そういうな、ハンジはこういうことに強い。巨人に関すると冷静さを失ってしまうのが欠点ではあるがな・・」
一通り話していると結構な時間になって次第に人の動きが出てきた。ティアナに関しては今はこれまでと思っているところに不意にエルヴィンから質問を投げられた。
「ところでエリーがティアナを見つめる目が気になるが心当たりはあるか」
「ああ、以前言い寄られて断った」
難しい顔になったエルヴィンに怪訝な視線を送ると「こちらでも気を付けておくが、できるだけ彼女にも気を付けておけ」
「そうしよう」
今度こそ団長室からリヴァイはまだ自室で寝ているかもしれないティアナの寝顔を見たいと一旦自室へ戻った。
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エリーとティアナには一日休みを取らせているがエリーもティアナも通常業務をしている。
リヴァイはせっかくの機会だ。休めばいいと言ったが、休むことで余計な詮索や迷惑をかけたくないと結局は仕事すると譲らなかった。
頑固なティアナはにっこりと笑って「残業するヘマはしないから」というがいまいち信用できないとリヴァイがいうとあからさまにふくれっ面をした。
それさえも愛しいと感じる自分に内心、こいつには勝てねえなと苦笑しだからこそ彼女を傷つけるかも知れない、少なくとも負の感情をもっている人間は排除しようと気持ちを切り替えた。