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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第44章 新しい仕事と出会いたくない出会い



私室の狭いベッドに横たわりながら、ティアナは今夜のことを反芻する。ディアナに気づかれたのだろうか。中堅商会の催す夜会に出るのは上昇志向の強い彼女らしくない。何か意図があるかもしれない。
まさか、調査兵団にいるのが知られてしまったのか。もしそうだとして何故気づかれたか?クルト達も侯爵も自分の居所は決して言ったりはしない。それは信用できる。もしディアナ側ならとっくにティアナはここにはいない。侯爵も問題はないと判断したからこそクルト達と会う機会として夜会出席の安全を確認し旧友と会えるようにしたのだ。
彼らが未だに自分と接触していて居所も知っているならディアナはどんな手を使う?偶然と片付けるには周りを含め危険過ぎる。だからといって知らべようと迂闊に近づけば余計に危険かもしれない。堂々巡りの考えは次第に纏まりがなくなっていく。
情報が少なすぎる。わかっていても自分の中に巣くうあの時の恐怖が叫んでいる。今すぐにリヴァイに会いたい。ただ抱きしめてほしい。知らず頬を流れる涙を拭い、長い夜を堪えるしかなかった。


____

女王然として振る舞う女。ディアナは数曲歌うと主催者をはじめ周りに人が集まっている。そのすべての人間に魅力的と思われる愛想よく笑顔を浮かべながらその目の奥は冷酷な光を湛えている。人を見るのに長けているはすの商人相手によく悟られないもんだ。リヴァイはある意味この女に感心すら覚えた。地下街で澱んだ目、相手を欺く目をしたやつらは腐るほど見てきた。この女はその目をもっている。ティアナやエルヴィンから聞いた想像よりも自分も目でみて感じたのは隙を見せれば容赦なく襲い躊躇はしない、そんな種類のやつだ。
何故ティアナを追い詰めようとするか、一瞬理由を考えて無駄だと切り捨てた。それを知ったからといってどうなるもんでもない。この女は危険だ。それだけわかればそれでいい。とっととずらかるのが得策だ。何よりもティアナの傍に早く行きたい。
だがこのクソッたれな会場を早々に辞するのは逆に目立ってしまう。隣のエルヴィンから離れて会場を眺め、ハンジの監視に戻った。できるだけ気配を殺しながら。

お開きの雰囲気になり引き止められぬ前に退散した。
ハンジとエリーにはモブリットとティアナが先に出たことの説明はエルヴィンに任せた。
早くティアナに会いたい。

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