第44章 新しい仕事と出会いたくない出会い
ハンジさんとモブリットさんの攻防戦はあの頃とは変わらないらしい。執務室にはモブリットさんの他にニファがいて、もはやハンジさん、そっちのけで話しかけてくる。置いてけぼりになったハンジさんが仕方なしにソファから立ってお茶を淹れてくれた。
「あーもう!私がティアナに話したいことがあって連れてきたのに」
「ハンジさんは黙って仕事してください!そっちが終わらないとこっちも進まないところもあるんですから!」
結構気の強いニファがハンジさんに言い返すと「ねー」と同意を求められる。
言い淀んでいるとモブリットさんがフォローしてくれて答えにくい回答は避けられた。
「ところでさ、肝心のティアナを連れてきた本題に入ってもいいかな」
「あ」とバツの悪そうなニファがすみませんと言うとハンジさんは「いいさ、久しぶりの仲間に興奮するのは当たり前だし、私も本当は毎日、事務室から攫いたくって仕方ないんだからさ」
今でも班員として扱ってくれるハンジ班には感謝しかない。
だけど、今日ハンジさんが連れてきたのは一体なんなのか。
若干、不安を抱えているとハンジはその不安を飛ばすように背中を叩き、いつの間にか用意されたお茶を飲んで一息つこうと言ってくる。
これまでの異動の中で一番親しみと無茶を言われ続けたハンジ班。
始めての配属でもある事から思い入れもある。
想い出話や今、ハンジ班が主に動いている業務内容、ハンジの興味のある事をハンジにしては手短に話していく。
(誰もが知っているがハンジの興味対象になった物事、人物を語る時は信じられない熱量で話すので時間はいくらあっても足りないのが常だ)
話が途切れた頃合いにハンジのまるで子供のような瞳から真剣な光を帯び、本題に入るのだ。とティアナにもわかった。
「エルヴィンからの夜会についての知らせはもうきてるかな」
「はい。つい先ほどですが、商会の夜会ですよね。ただ出席自体はわたしの意思を尊重するとのことで返事は後ほどとありました」
「うん。そうなんだけど。お願い。無理強いなのは分かってるんだけど、今度の夜会はぜひ出席して欲しい。新しい捕獲の為の資金が得られるんだ。私も出席して頑張るけど、成功率が上がるなら部下を強引に参加させるのが勝手で卑怯だとしても厭わない」
きらりと鋭い瞳にティアナは呑まれそうになった。
