第44章 新しい仕事と出会いたくない出会い
ゲルガーさんはニカッと笑顔で「飲みにいくか?」と言うけどミケさんが遮って、「たまにはハンジのとこにでも行ってくるといい」と飲みよりも魅力的な提案をしてくれたことで、ゲルガーさんのお誘いはなくなった。
自室のベッドに座ってバッグの中から封筒を取り出す。
きちんと封蝋されているのはエルヴィン団長らしい。
サイドテーブルからペーパーナイフをとって開封する。
今回は夜会への参加要請。中堅商会の夜会で貴族階級はほぼ来ないとメモ書きがある。
「返事は5日後まで。リヴァイが今夜あたりここに突撃するかも」
バァーンと勢いよくドアが開く。一瞬リヴァイかと思ったけど突撃してきたのはハンジさんだった。
「ひっさしぶりー!困ったことない?元気そうでよかった!あ、ここじゃなんだから私の執務室いこう、いつリヴァイが来るかわかんないからさ!!」
一気に話すと腕を掴んでズンズンと自室のドアへ連れていかれる。
「ハンジさん、待って、鍵くらいはかけないと」
ポケットから鍵を取り出して引っ張られ足がもつれそうになりながら何とか鍵を閉める。
ウキウキしているハンジさんはわたしの歩幅を気にせずに楽しそうな足取りで執務室へ向かい、半ば押し込むようにした。
ハンジさんの執務室は紙とインクと何かわからないけど臭い。ハンジ班だった頃は気にしていなかったけど、別班へと移ってこの執務室へ来ると慣れるまではできるならマスクか、せめてハンカチで鼻を押えたい。
フンフンと執務机ではなく、向かい合わせのソファは人ひとりがやっと座れるような状態だ。
「おーい、モブリット!悪いけどお茶淹れてくれるかな」
ハンジさんが奥にいるんだろうモブリットさんに言うとお茶を淹れる為ではないな。という形相でモブリットさんがハンジさんに迫っている。元ハンジ班としてはよく見た光景だ。
「分隊長!目を離した隙に逃げないで下さい!仕事溜まってんですよ、班員はまた残業ですよ?!」
待った、待った。とばかりに両手を前に出すハンジさんを押している。ハンジさんは何故かわたしに助けを求める目を向けている。
その視線でモブリットさんはわたしに気づいて目を開いていた。
「ティアナ?」
「はい。お久しぶりです。モブリットさん」
にっこりと笑って答えるとさっきまでの鬼のような顔をクシャリと崩した。
