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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第44章 新しい仕事と出会いたくない出会い



呆れ顔で言われ思わず謝るとレイモンドさんは面倒臭そうに手を振って扉に向かう。
後について出るとカチャリと鍵をかけ、笑いながらじゃねーと去って行った。

事務官の仕事はこうして始まった。




※※※


あれから事務官として徐々に仕事の幅は拡がって一人前とはいえずとも半人前位にはなれたと思う。
レイモンドさんは相変わらずだけど他の事務官の人たちとは段々打ち解けてきている。
ただ、調査兵団の幹部や壁外調査前後に関しては機密で限られた人に任されている。
そして、補佐官として活躍しているエリーさんは事務官でも別格で彼女が立ち寄るとみんながいる事務所ではなく別室に通される。


「こんにちは、例の件についての書類と申請書をもってきたわ、後、中央からの送付物はあるかしら」

彼女が来ると事務所は静かになる。みんな黙々と仕事をする中、帰り際にわたしの席に立ち寄る。

「お疲れ様。これエルヴィン団長から」

封筒の宛名にはわたしの名前。
エルヴィン団長がこうやってたまに寄越す封筒の中身の話題はおおよそ二つ。
夜会への出席要請。それと今の仕事に不自由はないかと気にかけてくれる手紙。

「じゃ、渡したわよ。返事が必要な分はご自分で渡して」

必要最低限な会話を終えるとエリーさんは事務室から出ていく。
始めの頃はエリーさんに声をかけられることに他の人は驚いていたけど、簡単に当たり障りない説明をすると興味はなくなったみたい。
でも、ここにいて肌で感じたこと。

エリーさんはあまり事務官たちから好かれていない。
口にして聞いたことはないけど、ピンッと張った空気、笑ってない目で対応する管理職。リヴァイやエルヴィン団長たちの前とはまったく違う態度。どこでもどんな部署でも偉そうな人は存在するし、その割には仕事ができない。そういう人は嫌われる。でもエリーさんは仕事は完璧。だけど、他の事務官を見下しているのを隠そうともしていない。

「あ~、やっとお帰りだ」

「しっ!」

緊張の糸が切れてレイモンドさんが大き目の声で呟くと他の人が諫める。

「少し早いが休憩にするぞ」

エリーさんが来た時は必ず休憩時間は前倒しになる。
つまり、午前の休憩は必ず前倒しで口に出さなくていい。
午後の場合はこうやって上官が許可する。
そうしないとエリーさんが蒔いていった不満が仕事の効率を落とすかららしい。

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