第43章 目の前にある過去
リヴァイは自室に戻ると兵団服に着替えてエルヴィンの元へ一直線に向かう。
珍しくノックもして団長室ですでに仕事をしているエルヴィンに一体いつ寝てるんだか。と少々呆れながら話を切りだした。
「ティアナはここに残る。俺の補佐官にしたい。エリーは仕事に追われているお前の補佐にするのが最善だろう」
疲労が滲むエルヴィンはようやくリヴァイに目をむける
「それに関してはティアナの希望も尊重しつつ、もし事務官なら一般事務官からと話して終わっただろう。私情で動けばティアナが苦労するんだぞ」
「なら。せめてエリーだけはお前につけろ。私情抜きでお前の死にそうな顔を見なくて済む」
「それも検討中で今すぐには決められないな」
「ふん、団長命令でもだせばいいだろうが。とにかく俺にエリーはいらない」
そこまで言うとエルヴィンの意見は聞かずに団長室のドアを開け出ていこうとして一歩留まる。
「それとあいつの私室は俺の隣にする。今日にでも移れるように手配する」
「それこそ私情絡みだろう」
「必要だと判断した」
エルヴィンは苦笑しながらも調査兵団に圧をかけティアナに今後危害を加える可能性がある何者かの存在がちらついた。
本来なら幹部であればあるほど私情は許されない。
(だが、相手が今後どの手を使うかもわからない現状では)
「わかった。許可する。だがあくまで特例だ。それとエリーは私の補佐に回わそう。本人には私から言っておく」
エルヴィンが思ったより、すんなりと許可を出したのがひっかる。だが、希望が通ったのは俺にとって都合がいい。
執務室に入るとすでにエリーは書類を捌いていた。
確か今日は急ぎのものはなく一日訓練にあてる予定だ。
「おはようございます、リヴァイ兵長」
「ああ、おはよう」
「本日は訓練ですね。急ぎのものはないですがある程度進めておきます」
「わかった」
スケジュールの確認をして、俺は朝飯をとって準備をしてから訓練場に向かった。
一日の訓練が終わり自由時間になるとティアナの元へと向かう途中でクソメガネが絡んできた。
「今からティアナのとこ?私もいいかな」
「ダメだ」
「独り占めかよ」
ケラケラ笑うクソメガネのすねに蹴りをいれると大袈裟にわめくがその後ろにモブリットがいるので問題はないだろう。